今年のノーベル平和賞の有力候補として挙げられていた金大中(キム・デジュン)大統領が、受賞の栄誉にあずかれない確かな理由を把握するするのは事実上不可能だ。ノーベル平和賞の審査基準と過程が、極秘に付されているためだ。今年はノーベル平和賞の候補に115人の個人と35の団体が推薦されたが、具体的な名簿は50年過ぎなければ公開されない程、ノーベル賞の審査は秘密の儀式の如く進められる。ただ、キム大統領が今年度の受賞を逃しても失望する理由はないというのが、現地の消息通の一致した見解だ。来年、受賞する可能性が相変わらず残っているという事だ。平和賞は毎年2月末まで候補推薦を受けているだけに、その前年の功績で受賞する場合がかなり多いのがその理由だ。
1970年に東西ドイツの首脳会談を実現させた当時のビリー・ブラント西ドイツ首相も71年に受賞し、93年に中東平和協商を実現させたイスラエルのイツハーク・ラビン首相とヤセル・アラファトパレスチナ解放機構議長も94年に受賞した。つまり6月に開かれた南北首脳会談が、キム大統領の今年の功績に反映されないこともあるという事だ。平和賞受賞にこのように時差を置くのは、功績の進行状況を把握するという意味が含まれているとの話だ。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キム・ジョンイル)総書記との共同受賞問題が障害になった可能性もある。外信は当初、南北首脳会談を共に実現させたキム委員長の共同受賞がなされない場合、南北関係に微妙な外交的葛藤が起こりうると懸念した。このために平和賞受賞によってかえって平和を損なった場合、この賞の趣旨とは合わないという政治的考慮が作用したという分析も出ている。万一、共同受賞問題がノルウェーのノーベル委員会の委員たちの念頭にあったなら、来年度にキム大統領とキム委員長の共同受賞の可能性は相対的に高くなる。紛争地域は共同受賞が慣例で、70年以来、共同受賞の前例が11度もある。
しかし、米国やヨーロッパの視角から見ると南北の問題は、中東やバルカンの問題よりもかなりなおざりにされているのが現実の状況で、行きすぎた期待をしたという指摘もなくはない。国内の反DJ情緒がノーベル委員会の世論聴取過程で問題になったという話もあるが、これはどこまでも仮説に過ぎない。