朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とアメリカが半世紀間の敵対関係を清算し、新たな友好関係を結ぶという内容の12日の米朝共同コミュニケは、南北共同宣言とともに朝鮮半島の情勢に画期的な変化をもたらすターニングポイントになると見られる。休戦協定の当事者である北朝鮮とアメリカの敵対関係の清算は、朝鮮半島の冷戦が事実上、幕を閉じたことを意味する。
中でも、アメリカのクリントン大統領が訪朝する事は、誰も予想できなかっただけに米朝関係の発展ぶりを実感させる。共同コミュニケで明らかにしたクリントン大統領の訪朝は、オルブライト国務長官のピョンヤン訪問の結果と、来月行われるアメリカ大統領の選挙結果などの情勢に影響されるだろうが、もし実現されれば歴史的な事件として記録されるに違いない。
共同コミュニケでは、また、ミサイルや核疑惑、テロ国家指定解除や外交官関係の設定、経済協力などについては具体的な結論を出している訳ではないが、その解決の原則と意志を明らかにしている。このようは、両国間の懸案は、今後さまざまな対話と交渉を通じて、活発に論議されるはずだ。
特に、朝鮮半島の停戦体制を平和体制に転換する件は、南北朝鮮とアメリカ、中国の4者会談で話し合うとしていることが、注目される。北朝鮮はこれまで、韓国は排除し、アメリカと平和協定を締結すると主張してきており、韓国としては常にこの点を懸念していたのである。北朝鮮が4者会談で議論する事を受け入れたのは「通米封南」という既存の政策を修正したという意味もあるため、南北共同宣言の履行のためにも幸いな事である。
実際、朝鮮半島に平和体制を構築する事は、いかなる懸案よりも本質的な問題に違いない。南北共に和平と安定に対する保障や信頼がなければ、真なる和解と協力は不可能である。そういう意味から、本欄は実質的な段階として軍事的信頼措置の先行を強調してきたのである。
それにもかかわらず北朝鮮は、軍事的信頼措置に関してはそれほど誠意を示していなかった。北朝鮮は、今やアメリカといわゆる「体制保障」に関する合意をしただけに、軍事問題に関しても過去と同じように敏感になる必要はないだろう。今回の共同コミュニケを契機に、韓国との軍事問題に関する話し合いにもより積極的に対応する事を期待する。
米朝関係の改善が、南北関係の進展にも肯定的な影響を及ぼすのは確かだが、それによる外交的影響も疎かにするわけには行かない。南北朝鮮とアメリカ間に新しい三角構図が形成されているだけに、北朝鮮を一方に置いて維持してきた米韓の協力体制は、今後どう運用するのが適切か検討する必要がある。
のみならず、米朝関係の進展は朝鮮半島周辺の力学関係にかなりの変化を及ぼすという可能性が大きい。それが中国やロシアなどの列強に及ぼす外交的影響についても私たちは、周到綿密に検討、対処しなければならない。