イギリスのロビン・クック外務長官は、19日ソウルで朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との外交関係樹立を公式的に発表し、アジア欧州サミット(ASEM)の開幕前夜に祝砲を鳴らした。
クック長官の発表には、ASEMに参加するヨーロッパの一国家と北朝鮮の個別的な外交関係の改善というレベルを超えた意味がある。北朝鮮からすると6月の南北首脳会談以降拍車をかけてきた対西方諸国との関係改善の重要な実りであるからだ。
クック長官が、本国ではなくソウルで北朝鮮との関係改善を発表したのは、「対北関係共同改善」というASEMの心構えをその現場で明らかにする一種の「タテマエ」と見られる。
ASEMが終わってから発表される共同コミュニケには、「ASEMの加入国が個別または共同で北朝鮮との関係改善を推進し、人道的援助、経済協力、投資の増大を図り、朝鮮半島の和平定着に寄与する」という内容が盛り込まれる方針だと伝えられている。
北朝鮮が南北首脳会談に応じたのも、結局は南北関係の改善が西方諸国との関係改善のためには避けられない過程だと判断したためだろう。外交通商省の関係者は、「北朝鮮の指導部が、対西方諸国との関係改善なくしては、経済危機が体制の危機につながるかもしれない、という不安があったようだ」と話した。
北朝鮮の対外関係改善の政策は、「南北関係→米朝関係→対欧州関係改善」へと進まれてきた。まるで、精巧に組み立てられたシナリオを追うかの如く行われているような印象をも受けるほどだ。金大中大統領の訪朝は、北朝鮮のチョ・ミョンロック国防委員会第1副委員長とアメリカのオルブライト国務長官との交換訪問の触媒となり、この交換訪問は北—英外交関係の改善につながったのである。特に欧州諸国が、「北朝鮮との関係改善においてアメリカをおいぬくつもりはない」という立場表明を見せてきた中、北ー米関係の急速な進展は、少なからずの影響を及ぼしたのである。これには、北朝鮮が6日アメリカの国務省を通じて、「テロ反対」を公式に発表した事も一つの要因として働いたと政府の関係者は説明する。「北朝鮮=テロ国家」という欧州諸国の認識を拭い去り、イギリスやドイツ、イタリアなどとの活発な外交接触を可能とするきっかけを作る事ができた。
とにかく、北朝鮮の活発な西方諸国との関係改善の努力は、朝鮮半島や北東アジアの安定に寄与するだろうとの事から、韓国としても喜ぶべき事だ。一部では、北朝鮮が西方諸国との関係改善を急いでいる中、内部の体制は一層厳しく取り締まっている、という見解もあるが、結局は北朝鮮も「大きな流れ」から逆行する事は難しいだろう、との予測が支配的だ。