「アメリカのメドリン・オルブライト国務長官の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問は、冷戦時代にピリオドを打つためだ。」
ドイツのDPA通信をはじめとする主な外信は、オルブライト長官の訪朝をこのように要約した。‘最後の冷戦の島’である朝鮮半島に、6月に行われた南北首脳会談以降、和解ムードが流れていることから、50年間続いてきた朝米敵対関係の終息というアメリカと北朝鮮の接触を含んだ表現だ。
しかし北朝鮮とアメリカが実質的に冷戦にピリオドを打つためには、まだ越えなければならない高い壁がある。半世紀の間、敵対関係を続けながら絡まるだけ絡まった糸をほどくのは簡単なことではないからだ。
両国の最大の争点はミサイル問題。アメリカが進めている国家ミサイル防御体制(NMD)が北朝鮮を最優先にしているだけに、北朝鮮のミサイル問題はアメリカの重い‘荷’だ。アメリカの情報関係者達は「北朝鮮は2005年まで、イランは2010年まで、ミサイルを開発することができるだろう。」と見通していた。オルブライト長官、クリントン大統領まで北朝鮮を訪問することの裏には、何よりもミサイル問題が大きく関係しているとアメリカのマスコミは分析している。
しかし北朝鮮はこれまで、ミサイル放棄に対して‘金銭的な保障’、‘人工衛星技術提供’などの見返りを要求しているため、話し合いが簡単に進展するという予測は立てられない。
アメリカが北朝鮮をテロ国家リストから除外したこと、米朝連絡事務所または外交代表部設置などの懸案もオルブライト長官の訪朝で扱われる重要議題。テロ国家リストから除外することについては、日本航空(JAL)もヨド号拉致犯など、敵軍派追放問題が妨げになっている。北朝鮮の核問題も長い間続いているアメリカの関心事のひとつだ。
このような懸案はひとつひとつ解決されるというよりは、朝米関係の進展によって、お互いに影響を与え合いながら解決していくしかない。北朝鮮とアメリカの間に一貫妥結の線が予想されているのもこのような事情のためだ。すなわち、オルブライト長官が一貫妥結の基礎を設け、クリントン大統領が訪朝し、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と調印するというシナリオが専門家の見方だ。
このような観測には金委員長のざっくばらんなスタイルも一役買っている。趙明禄(ジョ・ミョンロク)国防委員会の第1部委員長が訪朝した時、「アメリカが我々の領土と体制に対する安定を担保にした場合、重大な決心をすることも考えられる。」と明らかにしたこともこのような観測を裏付けしている。
しかし北朝鮮とアメリカが一括妥結を進めるとしたら「停戦協定の朝米平和協定の転換」など、韓国政府が敏感に捉えている懸案を除外することが難しくなる。このため、オルブライト長官の訪朝は、米朝関係という両者レベルを超え、韓国・北朝鮮・アメリカの関係まで波立たせることが予想されるため、絡まった糸をほどくことがより難しくなると予想される。