不良企業の退出を審査している債権団が、いわゆる乱脈経営の兆候が濃厚な企業のほとんどを回生させる方策を検討している、と報道されている。もし、それが当初想定していた退出の基準を満足させ、改正の可能性があるとの判断で退出から除外されたならば、極めて幸いなことであろう。ところが、そうではなくその場しのぎの意思決定であったとすれば、韓国経済の未来を一層暗くする大きな原因の一つになり兼ねない事から、多くの専門家が懸念している。
最近、韓国経済は改革雰囲気の弛緩と改革の疲労現象を露にし、各種の実物指標の伸びが著しく伸び悩み、金融不安感に伴う信用梗塞、予想もしていなかった石油高騰の長期化による実物経済の萎縮は、マクロ指標を通して表れている状況よりはるかに深刻な状態だ。その根本的な原因は、目標値に大きく達していないか、あるいは試行錯誤で一貫している4大部門の構造調整にあるといっても過言ではない。
第1次企業構造調整では、失業を意識しすぎて、企業リストラ(政府により処理対象に含まれた企業の意で)よりは企業改善作業などの企業回生に重きを置いた。ところが、企業改善作業に含まれる企業の選定に透明性を欠いているという事はさて置いても、各種のモラルハザードや経営改善が施された場合は、ごく僅かである事から、その結果は失敗だったと言えよう。都市銀行らは、企業を回生させるという名の下に設備と運営資金の新規貸出しはもちろん、出資転換に貸出し損失引当金まで増え、銀行の負担は急速に増加している。こうした中で、第2次金融構造調整が失敗に終わる可能性も排除できない。乱脈企業を整理しなくては、不良金融の改善も試みられない理由もここにある。
一層状況を厳しくしているのは、負債の帳消しや出資転換などの金融特恵で資金事情が改善された企業改善作業、法定管理、和議状態の企業が、収益性を考慮していない低価落札で、既存の優良企業まで乱脈企業への道に追い込んでいるとの事だ。これは比較的、健全な銀行までも不良化する危険性をはらんでいる。ワークアウトが進んでいる年末決算法人の上半期の経常損失が、前年同期より1.5倍近く増えた事が、この問題の深刻性を示している例である。ポイントは、既存の積もりに積もっている乱脈状をいかに迅速に取りまとめるかにあり、これはつまり金融健全化の中核でもある。
乱脈企業の判定のための合理的なガイドラインの新設と、透明かつ例外なき執行が、外貨危機初期に行われたのであれば、今日のような第2次構造調整の必要性はなかったはずだ。これを教訓に、今度こそ政府と債権銀行が強力な政策意志を持って、乱脈企業の整理を確実に始末するきっかけにするべきだ。これは、国民の政府の第2期の改革意志を推し量るリトマス紙の役割を果たすだろう。
第2段階の乱脈企業の始末は、近く断行する金融構造調整の成敗にも、莫大な影響を及ぼすだけでなく、韓国経済の対外信認度を推定するもう一つの基準になるはずだ。企業や金融構造調整が不十分な場合、アメリカ経済のように長期にかけて景気の変動に惑わされない強靭な経済体質への転換は期待できないだろう。短期的にも、来年度の韓国経済は景気低迷の中で物価があがるスタグフレーションに陥る可能性が高い。
不良企業を判別し、退出圧力を加える政策や財務構造のガイドラインを決めて、これを守らせる政策が市場と債権銀行の役割である事には疑いの余地がない。しかし、構造調整のための市場環境が整ってない中では、債権銀行にだけ任せるわけには行かない。政府の強力な政策的裏付けが必要だ。つまり、債権団が決めた不良判定から除外された企業において、今後乱脈経営が発生する場合、主債権銀行に責任を問う事にするなど、政府は積極的に制度的装置を設ける必要がある。
企業や金融の構造調整は、今回の一時的な作業に終わる事ではない。韓国経済の体質を健全なものにするためには、中長期的に絶え間なく実践しなければならない課題でもある。中長期的に市場経済システムによって自動的に部門別構造調整が行われるような制度と経済環境作りを疎かにしてはならないだろう。