21日から表沙汰になっているソウルトンバン金庫の巨額の不正貸出事件を見て、突如このような詩が思い浮かんだ。「一輪の菊を咲かせようと・・・」という語句で始まるソ・ジョンジュ詩人の「菊の側で」である。事前に点検をしておれば、甚大な波乱を巻き起こしている今回のような事件は起きなかったであろう。
韓国デジタルラインのチョン・ヒョンジュン社長とイ・キョンジャさんが、去年5月にデシン金庫を、10月にトンバン金庫を買収したことで事件は始まった。去年12月、テシン金庫から34億ウォンに達する不法筆頭株主貸出しがあり、事は進む。もし、この時きちんと対応しておれば、菊は咲けなかったはずだ。
しかし、当時不正貸出事件で「解任勧告」を受けていたイ・スゥウォン専務(現社長)は、「停職2月」に刑が軽減し、社長に昇進した。イ社長は、社長就任後、チョン・ヒョンジュン社長に27億ウォンの不正貸出をし、金庫の資金で買入れたピョンチャン情報通信の株式33万株をチョン社長に無償で渡した。つまり、賞を与え再び別の過ちを犯すよう煽った形だ。
トンバン金庫に対しては、97年以降3年7ヶ月間検査をしていない。筆頭株主が、去年10月チョン社長とイ・キョンジャさんに代わり、筆頭株主が同じのテシン金庫で不正貸出事件が発生したにもかかわらず、トンバン金庫に対する点検は行われなかった。トンバン金庫は、今年7月銀行監督院出資のチョン某さんを顧問に招いた。金融監督院の検査を防止するための措置だったと疑われても仕方ない。
今回の事件は、金融監督院のルーズな監督が引き起こした災いだという話は、以上の事から説得を得ている。ハンビッ銀行クァンアック(光岳)支店の不正貸出事件も、事前監視が疎かだったという事からは政府の過ちによるものだといえる。金大中政権が発足してから、銀行、証券、保険、信用金庫に別れていた監督機関が金融監督院に統合された。頑固たる監督が必要だと言うのが、統合の理由だった。ところが、監督は図体が大きいからといってできるものではないと言う事を今回の事件により身をもって知らされた。
ホン・チャンソン記者 hcs@donga.com