フィリピンのエストラダ大統領は映画俳優出身であり、副大統領だった時から悪性ルーマと多くのスキャンダルで有名な人物だ。
そんな彼が最近、ある不法の賭博の組織から1000万ドルの賄賂を受け取った事実が知られながら、フィリピンのペソ貨は暴落する一方、金利も高騰するなど、フィリピンの経済は最悪な事態を迎えている。
一部からは、第2のアジアの外国為替危機が、今回はフィリピンから始まるのではないか、との懸念の声も聞こえる。一国の内部の腐敗が国際資本によって散々処罰される格好の事例であると言えよう。これこそグローバル化なのだ。
国家も企業も経済をガラス張りにしないと、グローバル資本は容赦なく資本を回収してしまい、その企業や国は甚だしい被害を被ってしまう。最近、国内のある財閥企業が支配家族と関わった株式の不正な取引のため、投資者からも信頼を失い、株価さえもピーク時と比べ半分の水準まで下落してしまった。これもグローバル資本の規律を鮮明に物語る一つの事例だ。
我々は今、このような時代を生きているのだ。最近の金融監督院の高位幹部も関わったベンチャー企業のロビー及び賄賂受け取り事件も同じ観点から懸念すべき事例だと言わざるを得ない。先日のハンビッ銀行の支店長が関連した不正貸し出し事件から、政治家に対する賄賂授受疑惑事件、また、今回の事件に至るまでの一連の事件を見ると、わが国の腐敗の慣行はさほど変わらないまま、我々は未だに先日の経済危機から真の教訓を得ていないように思われる。
問題は、韓国のこうした腐敗や道徳的な緩みは、結局、グローバル資本からの処罰を招いてしまうということだ。いや、既に処罰を受けている。
今年、多数の企業が多くの利益を上げているにもかかわらず、株価が底値を抜けられずにいることも、韓国の政治・経済のシステムの非効率によるいわゆる`コーリアン・ディスカウント'のためである。
最近、世界的にグローバル化に対する反対運動が市民団体を中心に広まっている。こうしたデモはグローバル化の暗い側面に対する抗議であると共に、グローバル化が国家や企業、また個人一人一人に要求する行動様式や規律に対する挫折感の表示でもある。
しかし、グローバル化は既に返しがたい流れを作っている。問題は、全世界の国家数は200ヶ国を越えているが、グローバルに適応できる国は多くとも30ヶ国に過ぎない点にある。
グローバル化で一国が自分の取り分をフルに持つためには少なくとも三つの先決条件を満たさなければならない。
まず、自国の企業がある程度の競争力を持ってグローバル競争で生き残ることだ。そして、その国内部の政治・経済システムが効率的であることだ。最後に、その国の人的資源が優秀で世界的な討論や事業に参加することーーなどをあげられる。
この中でも2番目のシステムの効率化は再び3つの制度的な装置を要求する。まず、はじめは、政府が効率的でクリーンであること、2番目が、企業の支配構造が透明性と経営の責任を保証すること、3番目は、労働組合が企業の成果増進に参与する協力的な労使関係を定立することだ。
しかし、韓国の場合、この3つの制度的な基盤が、いずれも貧弱だと言わざるを得ない。官僚と政治圏の腐敗は最近の一連の事態からも分かるように過去のそれとまったく同じだ。企業は競争力もなく、支配構造においてもこれから作っていく初期段階にある。一部の労働運動は依然として理念的な基盤を持っており、特に主が存在しない組織での労組は、度を過ぎた山分けなどの不正行為により組織の資源基盤を貧弱化させている。
韓国は人的資源が優秀で、特に最近進められているデジタル革命においては先頭を占められる多くの条件を備えている。したがって、今からでも世界化が要求する政治・経済システムに見合う整備を急ぐならば、世界化の美味しい果実を享受でき得る30ヶ国の一国として仲間入りできるはずだ。
さもなくば、昨今のような危機を繰り返すという悪循環から逃れることは難しいだろう。