トンバン(東邦)金庫の不正貸出事件と絡んで、金融監督院のチャン・レチャン(張來燦)元局長が自殺した事からもわかるが不法と腐敗とは、たいてい公職とのつながりを形成する。市民団体はこのような腐敗のコネクションを断つために、この事件が起きる前から公職関連不正腐敗を防ぐための腐敗防止法立法運動を繰り広げているが、今国会の会期に対しても実りを期待するのは無理であると思われる。与野党は真剣になって取り組むべきだ。
「腐敗防止立法市民連帯」(共同代表チ・ウンヒ)は、政治圏の「怠業」でいつまでも棚上げにされていた腐敗防止法と資金選択防止法などを国会に提出し、立法を推進している。まず、参与連帯、経済正義実践連盟、反腐敗国民連帯、女性連合などの38団体による市民連帯を構成し、議員らから署名を受け、そのリストを公開する方法で在籍議員の76%に達する208人の署名を取っている。
96年参与連帯が、腐敗防止法案を国会に提出したのから数えると、似たような法律が国会に提出されたのはすでに数回にもおよぶ。同年、国民会議が不正調査処の新設、特別検事制度の導入を柱とする腐敗防止法案を提出し、99年には現政府と新千年民主党が反腐敗基本法案を提出しているが、審議もできないまま15代国会の閉会と共に自動廃棄となった。
一見、「特別検事制度の採択をめぐる争い」のように見えたが、その事情を探ってみると「政治資金の透明性」に自信のない与野党が共に消極的であったことに基づいたと言えよう。特に腐敗防止のための特別検事制度をめぐって立場を変えながら対立している場面は滑稽極まりない。
与党だった新韓国党(今のハンナラ党)は、4年前、野党の国民会議(今の新千年民主党)が特別検事制度を施行しようとした時、命懸けで反対し霧散させた。しかし、今は与党になった新千年民主党が、特別検事制度を取り除いた法案を提出し、野党になったハンナラ党はこれに反発しているのである。腐敗防止法が可決されないのは、政治圏の党利党略によるものであると言わざるを得ない。
公職者の財産登録と就業制限を決めている公職者倫理法の改正案は、ようやく政府部署間に退職者の就業範囲、在職中の株式投資に関する意見をまとめているらしい。しかし、これまでの退職後2年内には就業を禁ずるという法令もほとんど守られていなかったことからすると、より厳しく法改正を断行すべきだ。
国会の公職者の腐敗のコネクションを断つための腐敗防止法立法、公職者倫理法の改正において、より果敢で綿密な姿勢を取るべきだ。もし、これに真剣になって取り組まなかった場合、腐敗の共犯や幇助者だとの批判を聞き得ることも肝に命じるべきだ。