「ソウル大学出身者は0点、後輩は30点」。(地方大学出身の教授の採点表)
「後輩は30点、地方大学出身は5点」。(ソウル大出身の教授の採点表)
今年の夏、教授採用のために公開講座を行った地方の国立大学のある学科で起きたことだ。ソウル大学出身とその大学出身の教授が半分ずつを占めるこの学科の教授の募集で、あいにくこの二つの大学出身の志願者が最終段階まで残った。
一人の公開講座をおいて評価が極端に分かれるというあきれる事態の末、大学本部は採用自体を見合わせた。これは学問の競争力を虫食む純血主義の弊害を見せ付けてくれる些細な例に過ぎない。
教育省は教育公務員の関係法令を改正し、昨年9月30日以降における教授採用の際、特定の大学で学位を取得した者が3分の2を超えないようにした。しかし、韓国の学界に蔓延する仲間文化と温情主義を根絶させるには法律だけでは不十分だ。韓国の大学と学問の風土に根深い純血主義の実体と解決策を探る。
「教授会議は一言でいって先輩と後輩の集いです。ましては、助教授は「先輩の教授のプライベートな部分をも世話しなきゃならない者」といった冗談も見られます。(慶北《キョンブック》地域のある大学の助教授)
先輩教授の理論に反論すらできません。個人的に恩師であるがゆえに...(ソウル大学の専任講師)
ベテラン教授がどの弟子を選ぶかが一番重要です。一度嫌われたら教授は無理だと考えたほうが自分のためです」。(ソウル大学出身の講師)
ようやく本格的な学問の道に足を踏入れた若手の学者らは“大学内の仲間文化”を果敢に指摘した。純血主義は弟子や後輩を採用して自分の権威に対する挑戦を防ぎ、定年までの保障を受けようとする利己主義の発露」だという。このような中で“牽制と均衡を通じた学問の質的な跳躍”という命題は望めない。
このような点を認識した教育省は実力のある人が逆に採用されない不公平な弊害が生じることを一部懸念しながらも特定の大学出身者の採用を制限するクォーター制度を導入することにした。しかし、制度の施行から1年が経った今、“自分の仲間を採用する裏のメカニズム”が途絶えることはない。
「94.7%→95.1%、80.8%→79.2%、61.1%→65.7%」。
これは今年の国会監査で取上げられた昨年と今年のソウル大、延世大、高麗大の本校出身の教授割合である。クォーター制度が施行されてもこれといった差はない。
ソウル大は今年の任用者36人うち、一人だけが他校出身だった。法律の施行直前に異例的に3人をも採用した学科もある。特に法科大、医大、歯科大などはこのような傾向がより深刻で、教授全員が同門だ。
他の学校も事情は同じだ。特定学校の出身者が席を占め他の大学出身者は足を踏入れる場さえない場合が多い。全北(ジョンブッ)地域のある私立大の教授は「学校によってはその大学と又は地域の高校の出身が教授陣を掌握し、ソウル出身の教授と葛藤を招くことも度々ある」と打ち明けた。
米国、欧州などではこのような例を探すことは容易ではない。理由は簡単だ。純血主義が研究の創意性を抹殺し、学問の競争力を落とす‘近親交配’であると見なすからだ。
このため米国の主な大学は本校出身の教授の割合が多くても10%台をこさない。ハーバード大学の場合、1910年代は全体教授の70%以上が同門であったがその後、本校出身の採用を減らして現在は10%台に過ぎない。スタンフォード大の場合は母校出身者がほとんどいないほど。
学界では昨年の教育公務員法の改正に処罰条項が盛込まれなかった点を残念がる。国民大学のキム・ドンフン法科大学教授は「純血主義の問題を学者の良心に任せる場合は永遠に解決できないとし、違反する大学に
定員凍結、支援金の削減などの制裁を加えるべき」だと話した。
また、博士過程を終えたばかりの場合、一定期間、他の大学での経験がないと母校に志願できない‘本校初任制限’を主張する人も多い。
これについて教育の関係者は「純血主義による弊害を共感し、クォーター制度に違反する大学に財政的な制裁を加える方法を検討中」だと話した。しかし、本校初任制限は違憲のおそれがあると付け加えた。
李憲鎭(イ・ホンジン)記者 mungchii@donga.com