現代建設の処理問題が遅々として前に進まないため、「市場の原理通り処理していない」との非難の声が高まりつつある。
“市場の論理通りに処理しよう”との主張には百パーセント共感できる。が、最近の市場の出方には、鄭夢憲(ジョン・モンホン)会長などの相次ぐ経営陣の無能さに腹が立ち、感情的な対応が混ざっているような気がする。
これからは、“現代建設という堅実な会社”を、危機状況をもたらした‘経営陣’とは切り離して考える時期ではなかろうか。
現代建設が法定管理(日本の会社更生法)に入れば、国内はもちろんのこと、海外の工事も事実上不可能になる。現代建設は韓国建設会社の海外建設受注の60%を占めている。国内に現代建設に代わる会社がないために、現代建設の法定管理は数千億ドルの海外建設市場から‘韓国が退出’される状況をもたらしかねない。
また、現代建設の国内工事の現場は418個所、海外の事業場は115個所(33ヶ国)に達している。いくら有能な法定管理人が任命されても、本社から数千km離れた海外の事業場をうまく統制することは難しい。建設業の特性上、全権を持つ現場の所長がモラルハザード(道徳的な緩み)に陥る場合、会社はあっという間に看板を下ろさねばならない。
今の現代建設の状態は清算段階に入ったとも言えるだろう。数兆ウォンの価値を持つ営業力、技術力などの無形の資産が水の泡となり得る正念場である。このため、現代建設の法定管理は会社を再生不可能な状態に追い込む悪手になる公算が大きい。
会社とは、人さえ集まれば自然に動く組織ではない。会社の本質は、長い間、人と組織に蓄積された暗黙知(tacit knowledge)にあるものだ。このように、優れた競争力を整えた会社が、オーナー1人の過ちのために難関にぶつかっているとしたら、そのオーナー1人を変えることが賢明な選択ではなかろうか。会社内部から責任のある専門経営者を選んで、彼に会社を委せることがより望ましい方法かも知れない。
リストラはそれ自体が目的になってはいけない。リストラ作業とは産業の競争力を高める手段であることを肝に銘じなければならない。
李炳奇(イ・ビョンキ)記者 eye@donga.com