キム・ヨンホ(金泳鎬)元産業資源省長官の本紙インタビューは、金大中(キム・デジュン)政権に一時期所属していた人物が「警告」を発したという点で政府と国民に与える衝撃が大きい。
キム元長官の発言内容は何通りかの解釈ができるが、「長官在職中に自らがどれほど苦労したか」などの「個人的な身の上話に過ぎない」という分析に留まるなら、それは極めて後ろ向きなものでしかない。学者出身として政権に参入してそこで味わった失望と挫折の話の中には、現政府と国民がまだ気がついていない「過ち」が含まれているのではないだろうか。
「何より大統領と国民の間を遮っているのは、腐敗した保守勢力、一部の信念のない経済官僚などだ」と指摘しながら政府の意思決定の国「を批判した部分は、多くの国民の共感を得るだろう。権力の内部事情をよく知らない国民でも、昨今の世相を見れば、金大統領が側近への依存度を強めているのではないかと感じるはずだ。就任後半期に入ればますますこのような現象が顕著になるのではないかと心配される。
経済官僚の顔ぶれを見てみると、斬新さがなく、改革の意志が弱い人もたくさんいる。キム元長官が言うところの「信念のない経済官僚」というのが誰のことかはわからない。しかし、現在の経済官僚の中には、政権が変わってもそのまま長官の座に居座り続ける「職業的長官」ともいうべき人もいる。
経済に関して見解の違いが生じるのは当然のことだろう。しかし、「今、まかり間違えば致命的な状況に陥る」という見解は、現経済チームも否定できないはずだ。すでに任期の中盤を折り返した現政権で「権力の漏水現象」が深刻化しつつある状況で、この経済危機をうまく切り抜けることができなければ、慢性的な経済危機にある中南米や、長期複合不況に陥っている日本のようになり兼ねない。
「大統領と国民の間をつなぐ、健全で改革的な知的集団がない」という指摘は深刻に受け止めなければならない。金大統領は就任初期こそ改革支持の「ブレイン」としばしば接触していたが、最近ではそうではないらしい。
人事異動の人材の範囲が限定されているという印象も受ける。「現政権の政策が幅広く支持されないのは、こうした人事によるものだ」という指摘もある。
「政府内部が一つにまとまって推進する」という掛け声も、危機打開・局面転換を目的とした一時的なものになってはならない。キム元長官が指摘したとおり、金大統領を取り囲んでいる「腐敗した保守勢力」や側近から整理しない限り、国民は納得しないだろう。