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脱北者、アイデンティティ問題に苛まれ

Posted November. 24, 2000 16:53,   

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半世紀の間、対決と反目に一貫してきた南北朝鮮が最近、‘和解と協力の時代’を切り開いたことによって、国内に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から脱出してきた住民(脱北者)は甚だしいアイデンティティの混乱に苛まれている。

最近膨れ上がった‘黄長鎏 (ファン・ジャンヨップ)騒ぎ’も、単なる私生活への制限に対する反発ではなく、南北関係の変化による脱北者の危機意識が黄氏を通じて撫oされたものだとの指摘が、多くの専門家の一致した見解である。

▼アイデンティティの危機

脱北者は基本的に北朝鮮の体制に嫌気がさして韓国に逃げてきた人々。したがって彼らが金正日(キム・ジョンイル)政権を批判することは当たり前なことである。

問題は、最近政府が北朝鮮政権を可狽ネ限り刺激しないという態度で一貫している点だ。国家情報院が今年の夏、脱北者に「政府の太陽政策や北朝鮮政権に対する避難は出来るだけ謹んでほしい」と注文したことも同一の流れとして受け止められよう。過去とは全然違う。よって、脱北者はイデオロギー面で‘拠り所’を失い、南北両側が共に問題視する‘朝鮮半島の迷子’になってしまったわけである。

そうであるほど、脱北者は北朝鮮政権に対する避難の強度を高めつつある。‘北朝鮮も変わってきた’との政府の見方に対しても、脱北者同志会の会報‘民族統一’の最近号は「北朝鮮が上着のみを着替えたまま、依然として赤化統一への夢を棄てないでいる」と反駁したのもそのような脈略で理解できよう。

▼アイデンティティの混乱の背景

脱北者と政府間の見方のズレは、金正日政権をどう見るべきかの問題から出発する。

脱北者は金正日政権が存在する限り、北朝鮮が変わることはないと見ている。現在の体制の下では食糧であれ、医薬品であれ、政権安定にプラスになるだけで、人民らにはさほど役立たないとの立場である。これに反して政府は、そのような冷戦的かつ保守的な論理を持っては南北関係においての進展は成し遂げられないとの立場である。

こうした食い違いや葛藤は、イデオロギー問題だけでのことではないようだ。南北関係の進展は脱北者の経済的な土台も脅かしている。

早い話が、国家情報院の取り持つ招請講演の収入が、最近、3分の1ぐらいに大幅減ってしまった。南北がャEルーシンウジュ間鉄道を開通して直接交易に乗り出す場合、中国などを通じて北朝鮮との交易に携わる国内の脱北者も働き口を失う可柏ォが高い。

日増しに悪化しつつある脱北者の生活水準も一役買う。1980年代以前の脱北者の中で69.7%が自分の家を持っていることに反して、その後の脱北者は8.4%しか自分の家を持っていない。脱北者の失業率は60%前後と、国内失業率の10倍を上回る。経済的な窮乏が最近の不満の根底を成しているのだ。

▼展望と対策

脱北者の‘極貧化’は政府だけの責任ではあるまい。政府は1997年から“北朝鮮離脱住民の保護及び定着支援に関する法律”を制定するなど、本格的な支援に乗り出した。去年も定着金を相当拡大するなど、支援を強化した。雇用を促進するために、使用者には賃金の50%まで支援もする。にもかかわらず脱北者の状況がそれほど改善されない理由は何であろうか。専門家は政府の支援以外にも韓国住民の暖かい同胞愛が必要だと口をそろえる。脱北者が職場を離れる原因も、仲間の冷たい視線や鼻摘みなどの些細な問題が多数を占めているという。一角では脱北者の自活への意志が足りないとの指摘も聞かれる。

ャKン(西江)大学の金英秀(キム・ヨンス・政治学)教授は「脱北者の現在は統一祖国の北朝鮮住民の未来像だ」と提議した上で、「彼らを一日でも早く我が社会の一員として受け入れることこそ、脱北者のアイデンティティ問題の解決はもちろん、祖国の統一も早めることにつながる」と力説した。



ハ・ジョンムン、ホ・ムンヨン記者 orionha@donga.com