第2回南北離散家族相互訪問は、また再び胸が熱くなるような感動と切なさだけを残して幕を下ろした。今回のような一回限りの行事では、南北の離散家族の思いを果たすには、どうすることもできない限界があるという事実もまた改めて実感した。これに加え2泊3日の再会の過程で北側が見せた一連の言動は、相互訪問行事が変質してきているという考えさえさせられた。
まず、北側は第1回相互訪問の時よりも一層、政治的な宣伝に力を入れているように見られた。再会の場面を見れば、金正日(キム・ジョンイル)総書記に対する北側離散家族たちの称讃と体制宣伝が確実に増えた。ソウルに来た北の離散家族は、南の家族に金正日の著作と三代将軍偉人像や各種宣伝用の冊子まで持って来たとのことだ。
北側のこのような態度は明らかに改められなければならない点だ。離散家族問題に政治を持ち込めば、再会自体の維持が困難になるからだ。そのために当局もいち早く離散家族再会では、政治的な側面を排除するという合意までしたのである。
北側が南の一部マスコミ報道に対して取った態度は、政治を持ち込むという事以上に許せないことだ。北側は「将軍万歳」の要求に「南側の家族がどう対処していいかわからなくて困っていた」という朝鮮日報のインターネットの記事を問題にし、朝鮮日報の謝罪を要求し、平壌(ピョンヤン)に派遣された写真記者を事実上軟禁するという威圧的な行動にまで出たということだ。このため南北の訪問団の帰還日程が4時間余り遅延するという事態まで発生したわけだから、本当にあきれて開いた口がふさがらない。我々は一言で、事実を報道したその記事を問題にする北側の真意が、他にあるのではないかという疑いを持たざるを得ない。北側が、離散家族相互訪問事業を続けていく意志が果たしてあるのか本当に気になるところだ。
北側離散家族訪問団の団長である張在彦(チャン・ジェオン)北朝鮮赤十字社中央委員長の、張忠植(チャン・チュンシク)韓国赤十字社総裁に対する批判発言も常識の線を越えたもので、我々としては聞くに耐えないものだった。張総裁の言動に問題がないわけではないが、離散家族を引率して韓国に来た北の張委員長が、「みすぼらしく体たらくの張総裁は一度罪に死に、正しく生まれ変わらなければならない」と語ったのは無礼であり、傲慢である。
このような北側の言動、態度に対して、我が政府はどのように対応したのかわからない。政府が北側の原則と合意をはみ出した言動に対して、ただ見て見ぬ振りをする姿勢で一貫するとしたら、南北関係が望ましい方向に進展するわけがない。北側に対し言うべき事は言うという堂々とした姿勢が必要である。北朝鮮の顔色ばかりうかがっているとしたら、対北政策に対する国民的合意を引き続き得ることはむずかしいだろう。