SKグループのソン・ギルスン(孫吉丞)会長はこのごろ、財界の関係者が集まれば、「企業が力を合わせ、この難局を乗り越えよう」という話しを頻繁にするという。供給過剰に悩む業種は、業界自ら生産量を調節し、出血競争はさけようとのこと。つまり、国内の景気が低調である事を示す。
▽過剰な生産に悩む
国内の製造業を先導している中核的な業種は、自動車、造船、化学繊維、鉄鋼、機械、建設、石油化学、半導体などである。これら業種の天気予報は、比較的多くの受注量を確保している造船を除けば、みな「ぐずついた天気」ばかりである。
原因は、供給過剰と内需萎縮が重なっているためだ。正確な需要を予測できないまま、おびただしく生産量を増やした状態で需要が激減するや、ほとんどの業種は生産すればするほど損害を被る事態を招くといった気の毒な状況へと陥った。
本格的に自主減産を始めた石油化学業種以外の鉄鋼、化学繊維など他の業種もその程度に差はあるものの、倉庫に積まれている山ほどの在庫で頭を抱えているのは同じだ。
鉄鋼は建設景気が長期低迷になると、建設資材として使われていた鉄筋などの需要が激減した。形鋼と鋼管の場合は、国内の必要量が年間生産規模の6割に過ぎない。
化学繊維業界は11月初めの乱脈企業の退出から除外され、供給過剰は今後も続く見通しだ。原料価格は昨年よりも最高2倍近く値上がりしているが、中国メーカーの価格引下げ攻勢に負けないために、赤字輸出を強いられている。
石油化学の国内生産容量は、エチレンを基準に480万トンである。国内需要量の200万〜300万トンを生産しても200万トンほどが余る。ハンファ石油化学の関係者は、「11月は、冬を迎えてビニールハウスなどの需要があり、シーズンに当てはまる」と話した。しかし、そのシーズンを迎えても現状維持は愚か、生産設備を持て余しているほど深刻な状況である。
▽限界企業の連鎖不渡りの懸念
操業時間短縮が続くと、企業は原料購入の支出を減らし、在庫負担も軽減できる。しかし、生産が減少すると販売する品物も減少せざるをえない。当然、売上げも減少し、資金がまわらないため、現金繰りのよくない企業には致命的な打撃となる。
すでにかなりの企業が、1年以上会社債の発行や新規貸出しが閉ざされたのはもちろん、貸出金の満期延長もできない状況だ。
全国経済人連合会のキム・ソックジュン常務は、「これまでは営業による現金でなんとかまかなってきたが、採算性の悪化を懸念し、工場の稼働率を下げると、限界企業らが倒産する可能性が高まる」と述べた。
▽産業競争力を高めるべき
このような減少の根本的な原因は、韓国企業が国際舞台で生き残れるほどの競争力を養えなかったためだと言う指摘がある。
サムスン(三星)経済研究所のある研究員は、「外国為替危機以降、資金繰りが急であったため、技術開発には力を入れず、内需市場を外国企業に渡し、国際市場でも競争のできない事態にいたった」と指摘した。
韓国経済研究院の研究委員は、「消費財の需要が減少し、中間財の生産が萎縮するのは、実物経済の全般的な低迷であると言う点からして、何事もなかったかのように見過ごせる問題ではない。景気が低迷するほど、規制緩和を通じて新たな成長エンジンを探す努力が必要」だと話している。
朴元在(パク・ウォンジェ)記者 parkwj@donga.com