陳稔(チン・ニョム)財政経済相は4日午前7時ごろ、ソウル方背(バンベ)洞の自宅を出た。まだ夜明け前の時間。自動車に乗って報告資料にざっと目を通す。青瓦台(チョンワデ・大統領府)で開かれる経済長官懇談会で論議する内容だ。
青瓦台の会議を終えると、急いで汝矣島(ヨイド)にある産業銀行の電算センターに向かう。ここで午前9時からセンポード・ウェール・シティ銀行会長との約束があるためだ。面談が終わると、某ラジオ番組とのインタビュー日程が待ち構えていた。次いで全経聯会館に移動した。在韓外信記者との午餐懇談会に出席するためだ。韓国経済に対する関心が高い記者らは、鋭い質問を容赦なく繰り返した。陳財経相は答弁に気を遣わなくてはならず、食事もそこそこにした。
秘書官が時計をしきりにみながら「国会に行く時間」だという合図を送る。慌てて午後に開かれる国会財政経済委員会に参加した。
陳財経相の「活発な対外行歩」に対する財政経済省の公務員らの反応は複雑である。
「60歳なのに朝から夜遅くまで孤軍奮闘する姿は、素晴らしい」と高く評価する見方もあれば、その反面「果川(ガチョン)庁舎では長官の顔すらまともに見られない」という不満じめた声も聞こえる。長官が政策について充分に検討できないと懸念を示す人もいる。
現代(ヒュンダイ)グループの事態が混乱を繰り返している際、陳財政経済相は「経済チームの首長が経済全般をじっくりと面倒みる時間もなく、大宇(デウ)や現代問題で時間を費やすなんて情けない」と打ち明けたこともあった。
「経済チームの首長」として韓国経済の現実と展望について、できる限り多くの人に真剣に説明しようとする陳財経相の「本意」が分からなくはない。しかし、韓国経済を代表する財政経済相が度を超して外部日程に追われるが故に、本然の業務に支障をもたらすのではないかと懸念する人も増えつつある。
權純活(ゴン・スンファル)記者 shkwon@donga.com