金大中(キム・デジュン)大統領が10日夜(韓国時間)、ノーベル平和賞を受賞した。全国民がこぞって祝うべく慶事だ。金大統領は、ノーベル賞を受賞して帰国したらすぐに、国民が望む国政改革を断行すると約束した。現在、国内の民心は正直に言ってノーベル平和賞の受賞よりは、受賞後の改革により大きな期待をかけている。
しかし、まるで示し合わせたように展開されたこの不可解な警察人事と、わずか二日での解任劇は、現政権の改革の意志に対する疑いを国民に持たせた。その上、金大統領の改革決断に対する期待を冷ややかな視線に変えている。
ソウル警察庁長官に任命されて二日で解任された朴金成(パク・クムソン)氏は、出身高校と学歴を偽ろうとした疑惑を受けている。自身の利害関係によって出身学校を自由自在に変える権力のカメレオンだという非難を招いた。問題になるや、夜間大学に通ったとか、聴講生だったとかと話が変わる。このような人物がどのようにして、厳格に法を執行しなければならない警察の最高位の核心地位に就いたのか、到底理解できない。
朴氏はこの政府出帆以後、2年8ヶ月で総警から治安正監へと3段階飛び越し、超高速昇進街道をつっ走った。普通では、7年以上かかる地位だ。ソウル警察庁長官に任命されたのは、与党の実力者の口利があったという話も警察内外に拡がっている。結局、地域偏重人事だという非難世論に道徳性の問題まで重なり、朴氏は最短命首都治安総帥として途中下車した。
深刻な問題は、国政改革をするという政府がこのような不見識な人事をしたという点だ。地域偏重人事だという批判が出ることを分かっていながらも、警察史上初の湖南(ホナム・全羅道)出身警察庁長官‐ソウル市警察庁長官体制を、押し通そうとする権力の傲慢さでは、国政改革を遂行できない。
現政府は特定地域偏重人事の話が出ると、いつも決まって、人事の均衡を持ち出してきた。過去の政権では、もっとひどかったではないかという抗弁もしてきた。しかし、過去の過ちを繰り返すなら、政権交代する意味が、どこにあるだろうか。
政府は最近、経営改善が不振な公企業体の社長を、途中で退陣させると発表した。まるでコメディーのような話だ。与党勢力の協力者に、戦利品のように分け与える天下り人事をしたのは、いつのことなのか。今さら経営責任を問うなんて、腹を抱えて笑ってしまう。
人事が万事だというが、言葉だけでは何もならない。言葉と行動が別々では、話にならない。金大中大統領が帰国後に断行する、国政改革の核心も公正な人事にある。