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[記者の目] 危機論が危機をあおる

Posted December. 14, 2000 11:43,   

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三星(サムスン)経済研究所のある役人は、10月だけでも、来年度の韓国経済を概観楽観的なものとして見通した。が、最近は9対1の悲観的な見解に旋回した。

実物経済分野に詳しい彼がこのように見解を変えたのは、対内外的な悪材料も働いたものの、ここ数ヵ月間、韓国経済に対する危機論が実際以上に膨らみ、消費の低迷などの経済の悪循環が始まったと判断した事によるもの。ジョン常務は「外換保有額や国際収支などのマクロ経済指標を見る限り、『第2の外国為替危機』が再来する可能性は極めて低いにもかかわらず、国民の心理や株価はまるで新たな外為危機が始まったかのような感じだ」と懸念を表した。

民間経済専門家や経済関係公務員に会ってみると、韓国社会に少なからず広まっている`経済危機論'の後遺症を憂慮する人が多い。

チン・ニョム(陳稔)財政経済相は「経済を動かす決定的な要因は人々の心構えと行動だ」と言った上、「適当な危機意識を持つことは構わないが、『危機意識』に捕われ過ぎてしまうと、97年度の二の舞を演じ兼ねない」と懸念する。企画予算省のK局長は「韓国経済が今厳しい状態にあるのは事実であるが、不安をかもし出すことは現実の歪曲か誇張に過ぎない」としながら「いったい国民の誰にプラスと作用するのか」と反問した。

一部マスコミの経済報道の仕方に関する問題点もよく指摘される。ある財政経済省の局長は「経済不安を最大に助長したり、リストラを行なわないと今にも大混乱が訪れるかのように主張したりした新聞が、その直後に『失業大乱が懸念される』などと言った『二重のモノサシ』を適用することは正しくない」と不満を漏らした。経済専門家やマスコミがIMFを予見できなかった責任感のために`顔立て用'として先を争って危機説を言い触らしているとの厳しい指摘も出ている。

韓国経済は当分`冬'を乗り越えることは難しそうだ。しかし、フランクリン・ルーズベルト元米大統領が第2次世界大戦中だった1941年5月にした演説を思い出してみる必要があろう。「我々が恐れるべき唯一の対象は、『恐れる心を抱くこと』それ自体だ」。



權純活(ゴン・スンファル)記者 shkwon@donga.com