ビル・クリントン米大統領の訪北が不可能になったことに関連して、外交省側は「アメリカの大統領選挙事態が長期化した上に、北ー米ミサイル問題が難関に陥っているため、ある程度は予想していたこと」と述べながらも「訪北が成し遂げられていたなら、韓半島(朝鮮半島)の平和と安定に寄与できる歴史的転換点となっていただろう」と惜しむ様子であった。
政府のこのような反応とは対照的に、クリントン大統領の訪北努力を見守っていた政府の内心は多少複雑であった。総論としては歓迎していたが各論においては一部懸念の声もあったからだ。
北ー米関係の正常化は北朝鮮を国際社会へと導く確実な契機となると同時に、南北関係の進展にも肯定的に作用するだろうというのが歓迎の理由だった。金大中(キム・デジュン)大統領が何度も、クリントン大統領の訪北を勧告する発言をしたのもこのような意味からだ。
しかし政府の一角では「クリントン大統領の訪北が米政権末期の政治的イベントとして終わる場合、南北及び韓米関係にかなりの負担を与える可能性もある」と‘警戒’の声もあった。
マドリン・オルブライト米国務長官とウェンディー・シャーマン国務省対北政策調停官がクリントン大統領に対する‘最後の贈り物’として無理に訪北を推進した場合、北朝鮮側に対米、対韓協商における有利なカードを与え、逆効果になる可能性もあるということ。政府の関係者はこれに関連して「対北政策推進過程において『水をこぼしておきながら元に戻せる人が全くいないといった状況』は想像もしたくない」と語った。
クリントンの訪北放棄が辛うじて作られた朝鮮半島の和解ムードに悪影響を与えないためには金大統領とジョージ・W・ブッシュ次期米大統領との首脳会談をすばやく推進するなど、韓米間の対北共助をより強化すべきだというのが関係者らの一致した意見だ。