韓国戦争の最中だった1950年7月末、チュンブック(忠北)ノグンリ(老斤里)で退却中の米軍が、民間人を銃で虐殺した事件について米国は、12日クリントン大統領の名で遺憾の意を表明した。そして米国防総省のコーエン長官は記者会見を開き、真相調査の結果を発表し、慰霊碑建設基金として100万ドルと奨学基金として75万ドルを提供するとした。戦争の騒ぎの中で起きたことであり、50年も過ぎた今、米国の国家元帥が遺憾の意を示した事は、非常に誠意のある姿勢だと評価できる。
ところが、ノグンリ事件が1999年AP通信の報道で話題になってから、韓米両国がそれぞれ真相を調べた後の対策としては不十分なものである。何よりも発砲の経緯と責任者に対する真相究明や遺族への補償は何一つ解決していないからだ。さらに、古い事件ではあるが真実を明かし、責任を追及する目的は、二度と人類にそのような不幸な事件が起きないよう、歴史的な教訓として残すところにあるにも関わらず、そういう意義はどこにも見当たらない。
コーエン米国防長官の発表によると、戦争の初期につぎ込まれた米軍は若い上、未熟だったので、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の戦術に対する準備が整っていなかったとして、責任の所在が戦争そのものにあるとしている。しかも私たち(米国)の戦争努力が・・・今日韓国の繁栄と民主主義の土台となった事を忘れてはいけないという文章にいたっては、虐殺の責任を私たちにまわしているような印象さえ受けるほどだ。
私たちは韓米軍事同盟によって、1970年代のベトナム戦争を始めとする米国主導の戦争に派兵しており、それらの行為を通じて両国の国民が大切にしている価値を増進してきたはずだ。米国の韓国戦争への参戦も、こうした脈絡から理解すべきだ。参戦の基本趣旨が両国の共同利益を守るためだったというのを忘れてはいけない。しかし、その過程で非戦闘員の虐殺のような違法行為があったから基本趣旨とは別に、事件のすべてを明らかにすべきだと言うのが、韓国の立場である。
ところが、国務総理室傘下のノグンリ事件対策団は、クリントン大統領の遺憾表明を事実上の謝罪として受け取るなど拡大解釈しているのは、事件の実態と真実を正確に究明するよりは、一日でも早く捜査を切上げようとばかりしているかのように見受けられる。結局、遺族が妥当な補償を受ける道は訴訟しかない。これは権利を守るための正当な法的手続きである。政府は、その過程で韓米相互間の理解の幅を広げ、両国間の友好関係が一層深まるきっかけになるよう、支援の役割を果すべきだ。