「アクセスなくして支援はない『No Access, No Aid』」
国際機構である世界食糧計劃(WFP)の対朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の支援原則である。配分の透明性が保障されない限り、一粒のお米も支援出来ないということである。米国がリードし「米国赤十字社」ともいわれているWFPのこのような原則には、救護物資が北朝鮮当局により軍事的に転用される可能性に対する懸念が伺える。
実際、WFPは北朝鮮に食糧を支援する条件として、厳格な現地モニタリング(監視)を要求している。
5ヶ所の地方事務所に56名の要員が在住しながら分配実態を監視し、211の地域の中でモニタリング要員のアクセスを制限した平安北道(ピョンアンプクド)の寧邊(ヨンビョン)、平壌(ピョンヤン)、チュング等、48の地域は支援を中断した。
次期米国共和党行政部は、対北朝鮮支援の透明性を一層厳格に要求すると表明した。パウエル国務長官指名者は17日、人事聴聞会で「北朝鮮から確実に得るものがない限り、どんな物も与えない」と語った。
WFPによると、北朝鮮はこれからも毎年150万tの食糧が不足する。ジョージ・W・ブッシュ行政府は、北朝鮮が「行動で誠実性を立証しない限り」対北朝鮮支援には「好意」を見せないと表明している。
これは、人道的なレベルの食糧支援も影響を受けられることを示唆する。
ブッシュ行政府は、クリントン民主党政府が核とミサイル等大量殺傷武器(WMD)を抵当に北朝鮮との賭け引きで振り回されたと見ている。親共和党の性格が強い米国外交協議会のロバート・メニング首席研究員の最近の発言は、ブッシュ陣営のこのような認識をよく表わしている。
「ブッシュ行政府は、北朝鮮とクリントン行政府の交渉を一種の『詐欺』と見ている。金正日《キム・ジョンイル》国防委員長は何も損をせず利得だけを得、軍事的な脅威も維持することにより、両方手に入れようとしているが、もはや許されないであろう」
ブッシュ行政府の厳格な相互主義と透明性要求は北朝鮮との摩擦をも予想し、韓国にも間接的な圧力として作用する可能性が高い。
実際に米国は98年金剛山(クムガンサン)観光が始まった時、現金で観光の対価を支払えば軍事費に転用する恐れがあると反対し、対北朝鮮全力支援にも否定的である。
ブッシュ行政府のこのような対北朝鮮政策の基調は、政府の対北朝鮮包容政策に批判的なハンナラ党と 保守陣営に力を沿えると思える。ハンナラ党は既に「《パウエル指名者の発言は》我党が心配し、配慮しながら指摘してきた観点と類似した大変妥当な視覚である。政府の一方的に与えるという対北朝鮮政策も修正が必要である」と主張した。
対北朝鮮包容と交流協力を根幹とした政府の対北朝鮮政策が、米国と国内保守勢力から攻撃を受ける場合、その推進力が衰える恐れがある。
順機能もあり得る。米国の透明性要求に北朝鮮が一定水準「呼応」することにより、南北(朝鮮)当局の立場がむしろ強化される可能性もある。勿論これは、北朝鮮の態度に掛っている。