医療保険に対する市民の考えはそれぞれ違う。その中には医薬分業により保険料が引き上げられたと考えている人も多いはずだ。しかし医療保険財政は破綻直前に瀕しているというのが現実だ。
医療保険財政のこのような国「は、基本的に収入が支出についていけないからだ。保険料の引き上げに対する市民の反発はかなりのものであった事に比べ、高齢者人口の増加や良質の医療サービス要求に伴う保険給与は増加している。5年間の収入増加率は14.4%であることに比べ、支出増加率は18.5%という統計を見ても分かるように、保険財政は赤字幅が膨らむ傾向を見せている。特に、昨年の赤字は約1兆ウォンに達した。
しかし医療保険財政がここまで悪化したのには当局の責任もある。地域、職場、公務員、教職員の保険統合によって生じた問題などにより、99年5月以降、1年7ヶ月の間保険料を調整できず、赤字の衝撃を吸収することができなかった。当局は保険財政の悪化を卵ェできなかったか、卵ェしたとしても保険料を引き上げなかったという失敗をしたと言えよう。実際、韓国の医療保険負担率は4%程度と、先進国の8〜11%に比べると低い方だ。その上、統合組織の国「調整と管理運営にも失敗し、ばらまきに終わった落Zだけでもかなりの金額に上る。事情はどうであれ、現在の問題は医療保険財政の安定にある。保健福祉省が昨日、青瓦台(チョンワデ・大統領府)への報告で財政安定対策に重きを置いたのもそのためであろう。ひとつは保険薬の価格の引き下げ、保険公団の職員縮減、国庫支援の拡大、保険料徴収率の引き上げ、保険給与審査の強化などの自助努力を行うことにより、保険料の引き上げ要因を吸収し、保険料を多少引き上げるということだ。もうひとつは根本的な赤字国「を改善するため、医療貯蓄制度と少額診療費の本人負担制度を導入するということだ。福祉省のこのような対策は苦心の末に出た方案であると思われる。しかし国家的にはシンガポールでだけ施行されている医療貯蓄制度は、韓国では余りにも目新しく、少額診療費の本人負担制度は二重負担として感じ取る人も少なくなかろう。
医療貯蓄制度は現行の保険料の一部で個人別に口座を作り、決められた診療費を口座から支給するというもの。これは頻繁に病院に出入りすることを抑制することにより保険財政に寄与する側面がある。しかし貯蓄口座で処理する病気は何なのか、積立額の限度はあるのかなどの疑問点は拭えない。少額診療費の本人負担制度も、患者の分散効果と保険財政の安定には寄与すると思われる。本人負担制度は現在、3次医療機関でのみ適用するというのが福祉省の考えであるようだが、保険料の負担が大きいと感じるサラリーマンや中産階級が反発する要因もある。
新しい方案は、重病や高額を要する治療などに対する保険適用率を現行の53%よりも引き上げ、患者の負担を減らすという意図が込められている。問題は新しい方案の実効性だ。採択に先立ち、綿密な検討を尽くし、保険加入者から同意を得るべきだ。