与党・新千年民主党が2月の臨時国会に国家保安法の改正案を提出しようとしており、いわゆる「国家保安法議論」が再び始まった。与党は今回何としても国家保安法を改正する計画だ。これに対して、野党のハンナラ党はもちろん共同与党である自民聯(自由民主連合)も国家保安法の改正には賛成できないという姿勢をとっている。
この欄ですでに述べたように、国家保安法は南北和平協力の時代に合わせて、改正されるべきだ。中でも過去軍部独裁政権時代に人権侵害の原因となった条項は、今はそうでないとしても合理的なものに変えるべきだ。
だが、韓国社会が長い間議論してきた国家保安法の改正は、法的論理では簡単に解決できない「国民情緒」という面が入っている。今もかなりの国民は「国家保安法は国家安保」という認識がある。
特に、私たちがこの議論に注目せざるを得ないのは、与党の国家保安法の改正推進が「特別な時点」と絡んでいるのではないかと思われるからだ。つまり、野党が主張しているように朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のキム・ジョンイル(金正日)総書記のャEル訪問前に、国家保安法を改正しようとしているのではないかと言う事だ。もしそれが事実であれば、憂慮すべき事である。
たとえば、国家保安法の第7条「褒め称え鼓舞する」という条項の場合、悪用または乱用される代蕪Iな条項として指摘されてきた。だが、キム総書記のャEル訪問の際、一部の若者が組織的に北朝鮮の旗を持って市街で「褒め称える」事態が発生し、これに反対する団体がデモでも行う場合の波高と混乱、葛藤をどうすればいいのかをまず念頭に置くべきだ。
しかも、北朝鮮の労働党のような主張をする団体が発足するかも知れないと言う懸念の声が、一部の保守層から出ている。
国家保安法の改正は北朝鮮の要求によるものではない。韓国体制の優秀さをもとに、「私たちの必要」に応じて行うべきだ。だが、このような「必要性」について韓国社会のイデオロギー的、情緒的統一がなされていないのが現状である。
こうした現実から、キム総書記のャEル訪問に合わせられるよう無理矢理に改正すれば、イデオロギーの葛藤により韓国社会の国論が分裂を起こし、結局は不利益を被る結果をもたらすだろう。
キム総書記のャEル訪問と国家保安法の改正はそれぞれ別のものとして受け止めるべきだ。これを無理に一つの事柄として受け止めれば、考えもしなかった副作用をもたらす可柏ォがあるということを与党は銘記すべきだ。