◇『自らを雇用しろ』(具本亨《ク・ボンヒョン》著/237ページ/9900ウォン/キムヨン社)
以前勤めていた会社がつぶれたためか、私の周りには失業者が何故か多い。失業者ではなくとも、しかたなく働いている人がとても多い。自分が就いている職業が心から好きで、毎日活気にあふれて仕事をする人間よりは、生活するために仕方なく仕事をする人間が大部分である。
この本は、急変する時代を迎え、挫折し、揺れ動き、自信をなくした会社員に新たな考えを与えてくれる。会社と個人の関係はどうか?過去はどうだったか、未来はどうするべきか?このような問いに対する解決の糸口を見つけ出してくれる。
何よりも自ら責任を取ることを強調する。自分に優れた迫ヘがあるなら、平凡な組織人間として安住しないで、自分の才狽僄ュ見し、それを発揮させることにより、自ら経済的な価値と生活の質を高めることを勧めている。雇用者に大きな期待をかけ、縛られ、哀願するのではなく、自分自らが真の価値を発見する方法と、その価値を極大化する道を示している。
著者は自分に合った仕事を探すために、一度は考えを建て直し、望ましい人生の分岐点を作る方法を、ある時は論理的に、ある時は感性的に、ある時は脅かしながら説明する。
自分のために、そして子供たちのために、人生のテーマを見つめ、情熱を取り戻す方法を示している。
この本は、企業のように個人のブランドを作り、その価値を高めることを勧める。企業がブランド価値を高めるために努力するように、自分だけの色を見つけ、組織の中で必ず必要な「鶏群の一鶴」のような存在になることをアドバイスしている。
『慣れ親しんだものとの決別』以後、具本亨氏の本は必ず読んでいる。何よりも大きな企業で安定したサラリーマンの身分から抜け出し、新しい道を自ら探し出す過程が興味深い。まさしくそれはハーフタイムの後、新たな競技を繰り広げ、観客たちの拍手を浴びるサッカーチームのような印象を受けた。私もまた、そんなことができればいいなあという思いもした。この本に訴える力があるのは、著者自身の経験を基調にしているためである。会社の様子をうかがい、「社長のせいだ」、あるいは「世の中のせいだ」と言いながら、年を取っていく会社員の心に染み入る話をしてくれるためである。変化しろと訴えている。
そのためには「骨髄にある自分だけを残し、全て捨てろ」と助言する。生半可な冒険よりは真の自分になれと言っている。捨てる方法を身につければ、得る方法も身につけるということだ。そして自身について情熱を持ち、果敢に新たな道に入る実践の場も示す。
そこで、自身だけのブランドとしてまた再起する道を案内する。惰性に陥った会社生活に活力を得たい者には一読の書である。
ハン・グンデ(韓国リーダーシップセンター所長)