マスコミ各社に対する税務調査に対する国政調査をめぐって、与野党が互いに94年度分のみの調査、現在の分のみの調査と相反する主張を展開しているのは、不要な攻防戦に過ぎない。結論から言うと、94年度分も現在の分も、共に調査するのが正論である。野党ハンナラ党は15日、一部マスコミにスクープされた「言論改革」に関する文書などに表れた現政権のマスコミ統制の陰謀に関する真相を究明すべきだとの国政調査要求書を国会に提出した。同党は基本的に政府が現在行っているマスコミ各社に対する税務調査が現政権のレームダックを防ぎ、長期執権を狙う戦略的な意図にあると見ている。
これに対し、与党民主党はどの企業も税務調査で「聖域」はあり得ないという一般論と、国民はマスコミへの税務調査を当然の措置だと考えているという世論をバックに対抗している。我々はすでに本欄において繰り返し言及したように、法に沿った手続きにより税務調査を行い、その結果に問題があれば、厳しく処理すればいいのである。しかし、このような単純な問題に野党が国政調査の要求まで乗り出したのは、結局与党の自業自得である。また多くの国民が税務調査の政治的背景に疑惑の念を抱いているのも、与党は知るべきだろう。金大中(キム・デジュン)大統領が新年のあいさつで、言論改革に言及すると、待っていたかのように国税庁と公正取引委員会が相次いでかつてない厳しい調査に乗り出した過程もそうだが、誰が見ても与党側が作成したのは明らかな言論改革文書まで出てきた以上、そのような疑惑は深まるばかりである。新聞を「反与党」、「中立」、「親与党」に分類して、反与党色の新聞を牽制する「合法的なやり方」を動員した「正攻法」を提案している文書と、現在行われているマスコミへの税務調査が無関係だと言っても納得する者はいないだろう。与党の主張通り、そのような文書は作成どころか、見たこともないと言うのなら、疑惑を解くための国政調査を拒否する理由はない。
前大統領の金泳三(キム・ヨンサム)氏が発言した94年の税務調査の内容もまた、その真相がきちんと明らかにされるべきである。「税務調査の結果を公開すれば、つぶれるマスコミもいるほどで、税金も減免してやった」との金泳三氏の無責任な発言をなかったかのようにごまかすならば、全体のマスコミに対する国民の不信感は拡大再生産される最悪の結果をもたらすだろう。したがってハンナラ党は、これに対する民主党の国政調査要求に反対してはならない。もう一度、念を押すが、マスコミへの税務調査に対する国勢調査は94年の分も現在の分もすべて行うべきだ。