最近、オーストラリアに訪問した時に考えたことだが、昔この大陸を探検し、英国領土だと宣言したジェームス・クック船長よりも400年も前の1300年代、に日本人の集団がこの大陸に上陸しており、18世紀には中国人が居住していた痕跡まで残っているということは興味深いことだ。
当時、我々の隣の国に住んでいた人々が、どうして自国から遥か遠くに離れたオーストラリアに行くということを思いついたのだろうか。鎖国によって国を閉ざし、両班(ヤンバン・当時の最高身分階級)の派閥争いにだけ没頭していた韓国の過去と比べてみた時、国境を越えて新世界に向かった彼らの開放的な精神に驚嘆するばかりだ。
あれから数世紀が過ぎた今も、開放はやはり未来に向けた出口であることには変わりない。特に、経済部門ではよりそのような傾向が強く、各種の集まりで保守的性向の主張と論争を引き起こすことになる。時に筆者は親米主義者と呼ばれたりもするが、それを悪く考えたことはない。数年間の米国生活を通して、彼らの人道主義とバランス感のある合理主義を体験したからだ。
しかし最近、米国政府と議会が、産業(サンオプ)銀行の現代(ヒュンダイ)電子会社債買収問題を威嚇するのを見ながら、この国に対する印象が変わり始めた。米国側の主張は、一言で言えば民間企業に対する政府の支援を禁止しなければならないということであるが、それが正しいとすれば、あなた達がしていることを何故外国政府にはできないようにするのか訊いてみたい。
1979年、クライスラーの倒産を防ぐため、米政府が私企業に12億ドルの融資保証をしたことは、大規模な政府支援の始まりでもあった。1984年レーガン大統領の時代、貸付組合(信用金庫)の連鎖倒産によって米国が深刻な金融危機に陥った時、政府が数百億ドルを支援して再生させたこともある。90年代にはシティーバンクが南米で倒産直前の状態に陥った時、政府がかなりの金額の支援をした事実も有名なことだ。
昔のことを例に挙げるまでもない。去年、へッジファンドの元祖でもあったロングトムキャピタルマネージメントが倒産した時、この会社を立て直すため、米政府がどんな手助けをしていたかについては世界的にもたくさんの証人がいるほどだ。また、米国の州政府単位で見た場合、政府が企業に対して行った支援の例は星の数ほどもあるではないか。
英国のウェールズ政府が外国企業を誘致するために数千万ドルずつ融資している問題に対しては、何故傍観しているだけなのだろうか。また、米国資本になった第一(ジェイル)銀行に対しては、国民に非難されながらも政府が現金支援を続けることに何故沈黙しているのか。
今回、議会で問題を提起した議員達は、主に現代電子と経済協力関係にあるマイクロンテクノロジー社の工場があるアイダホとユタ州出身だ。そして彼らが、マイクロンテクノロジーから数万ドルずつ政治献金を受けたということは既に多くの人が知っていることだ。地域区内企業を保護することに対して非難することはできないが、彼らの主張が合理性を失っている時は説得力を失う。
特に、現代電子関連の議会提案文に登場する「不法的」という単語は、裁判もせずにどうして違法であると断定できるのだろうか。また、どの国の法に違法しているということなのかもよく分からない。現代電子を「倒産企業」と呼んでいることにしてもそうだ。半導体の価格が1ドル値上がりしたら売上額が6億ドルも増加する会社に対し、ある特定時点で倒産と決めつけてしまうとすれば、この世に再生する企業などあるだろうか。
彼らの主張は我々が通貨危機に陥っていた時代、国際通貨基金(IMF)側と結んでいた「不良企業は倒産させる」という約束を違反したというものなのだが、そうだとすればIMFが「今回の韓国政府の措置は正しい」と整理した事実を何故あえて無視するのか知りたいものだ。米国は必要に応じて国際機構の決定を無視する権利を持っている国なのか。
「同僚議員が発意したことであるため、米国議会が決議案を採択する可能性が高い」という専門家の見解は、「非合理的な主張を根拠にした非合理的な決定」が下ろされることもあり得るということを予告している。それによって我々は、米国が韓国で失ったものが多いのか、得たものが多いのかを注意深く見守るだろう。多くの「親米主義者」が今回のことで米国に背を向けるとすれば、米国は自国の企業が外国企業を打ち負かして半導体を販売した利益より、ずっと多くの損失を被ることを知るべきである。
李圭敏(イ・ギュミン)論説委員 kyumlee@donga.com