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[社説] 消防官の惜しまれる殉職

Posted March. 04, 2001 16:56,   

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悲痛な出来事だ。昨日未明、ソウル市弘済(ホンジェ)洞の住宅街での火災現場で、消火にあたっていた消防官6名が亡くなり、3人が重傷を負った。1年間に数千件の火災が発生するが、消火にあたった消防官が一度に6名も殉職した事故は未だかつてなかった。

災難に襲われた消防官たちは、2階建ての多世帯住宅の1階から出た火が2階に燃え移り、逃げ送れた人がいないか確認するために建物の中に入った。いったん火の手は収めたものの、1階ではまだ火が燃えている状態だった。完全に鎮火していないのに中に飛び込んだのは、生存者がいるなら何としてでも助け出したいとの一念に駆られたためだ。

彼らの必死の努力により、ほとんど消火が終わろうかという時、2階が崩れ落ちた。建物の中にいた消防官は、死亡あるいは重傷を負った。有毒物質が充満する工場や、高層ビルの火災でもない一般家屋の火災で、火災鎮圧要員の人命被害がこれほど大きかった事故は、今回が初めてだ。

経緯を追究する前に、市民の生命と財産を守るために、自らの危険も省みずに火の中に飛び込んだ消防官たちの崇高な使命感に、あらためて頭が下がる思いだ。決して高いとはいえない給料などの劣悪な勤務環境の中でも、自らの任務に忠実にあたった末に神化した彼らの霊前に、心から弔意を表する。

しかしこの事故は「消防官たちが不可避的に遭遇した不幸」というレベルで片付けられない問題がある。人命救助は火災鎮圧において優先されるべき事項だが、まだ完全に消火しておらず、崩壊の危険もある現場に消防員を9名も投入しなければならなかったのだろうか。状況判断に問題はなかったのだろうか。あらためて考えなければならないだろう。

火災鎮圧の与件と予防策が未だに不完全なことも明らかになった。出火した多世帯住宅は30年前にレンガだけで建てられた古い建築物で、火災による崩壊でなくても事故の危険があったが、それに対する予防措置はなかったという。消防当局も火災時の崩壊の危険性など、建物の特性をあらかじめ知っていたとしたら、無理に消防員を投入していなかっただろう。

常に問題になることだが、今回の火災でも住宅街の消防道路の不備が事故原因の一つとなった。火災現場まで道路の両側に、乗用車がぎっしりと駐車されていたために消防員の接近が遅れ、簡単に消える火が燃え広がり、最終的に建物が崩壊する事故に発展した。

消防官たちの惜しまれる犠牲を防ぐためには、火災の消火と同等の予防策がさらに重要だということを、今回の事故は教えてくれた。