現代峨山(ヒュンダイアサン)の金剛山(クムガンサン)観光事業が坐礁の危機に陥っているが、これは初めから識者の間ではある程度予想されていたことだった。観光客の数が事業開始以降、年平均20万人にも満たないにもかかわらず、年間72万人を基準として事業計画を立てていたことや、船上カジノや免税店の運営などの実定法に合わない「バラ色計画」を期待して事業を始めたこと、全てが今日の事態を引き起こした原因だ。しかしもっと根本的に間違っていたことは、北側と交わした入山料契約である。観光客一人が一日に100ドルずつ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に払うことにしたのは、正常な判断では到底理解できないレベルの話だ。いかに世界的に見事な景観とすばらしい施設を備えた観光地でも、そんなに高い入場料を払わなければならない所はない。米国が誇るグランドキャニオンやイエローストーン国立公園でも、入場料は何日滞在してもせいぜい一回30ドル前後だ。
一ヶ月に実に1200万ドル(約150億ウォン)もの入山料を北朝鮮に払うことにした契約がどんな過程を経て成立したのかは、きちんと説明されたことはない。万が一現代側の自律的事業性を検討した結果から出た数値なら、この会社は事業展望すらまともにできない無能な企業としか言えない。政府が北朝鮮支援の次元で何らかの代価を約束し、無理にその水準で合意をそそのかしたとしたら、現代が政府のせいで犠牲になったという構図になる。
北朝鮮が度重なる現代峨山側の入山料引き下げ要求を拒否しているのも間違いだ。もし北朝鮮が、現代を支援するよう韓国政府に圧力を加えているのだとしたら、それは北朝鮮の誤算である。銀行でさえ事業性が不透明で融資をしたがらない事業に対し、政府が支援するとなれば国民が黙っていない。資本主義の社会では、利益を上げられない事業は断念するのが原則であり、金大中(キム・デジュン)大統領も「民間レベルの対朝事業は収益性が優先される」と国民との対話を通じて確認したという経緯がある。現状が改善されない限り、金剛山観光事業が正常化するのを期待するのは無理である。北朝鮮出身の失郷民などの主な対象のほとんどはすでに訪れているうえ、禁断の地と感じられていた金剛山に対する神秘さも薄れたことはもちろん、統制が厳しすぎて旅行が単調だという批判的世論が支配的だからだ。
しかし金剛山の持つ象徴的意味を考慮した場合、この事業が中断されるのは望ましくない。結論は、事業をここまで悪化させた現代側と韓国政府、そして北朝鮮当局がしっかりと向き合い、正常な妥結策を導き出さなければならないということだ。その際、入山料引き下げは優先的前提条件であり、それがだめなら事業そのものを全面的に再検討するしかない。