金大中(キム・デジュン)大統領と米国のジョージ・W・ブッシュ大統領は7日(現地時間)、ワシントンにて初の首脳会談を行なう。今回の会談は、米共和党政府の今後の対北政策の方向や内容などを把握する極めて重要な場になる見通しだ。会談で論議される懸案を5つに分けてまとめてみたい。(編集者注)
1.対北政策の共助
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の変化をどう評価し、対北関係の改善をいかに速く、いかなる方法で推進すべきかが、意見調整の核心となる。
今回の会談では、基本的に米国の関心を持っている北朝鮮のミサイル、核などの大量殺傷兵器(WMD)の開発、従来型兵器の縮減、ジュネーブ基本枠組み条約の履行問題などを幅広く取りあげることから始まる見通しだ。これは、「対北問題を巡る両国間の認識のズレを解消するためには、米国側の関心事項を優先的に充分に取りあげなければならない」という政府の戦略的な判断によるもの。
ただ、厳格な総合主義を要求する米国とは違って、韓国が弾力的な相互主義を推進することは、「北朝鮮を対話の場に導き、朝鮮半島の和解協力と平和の雰囲気を定着させるためのこと」であることを強調するものだ。
具体的な懸案としては、戦略物資である対北電力支援問題と、クリントン政府当時の韓米日3国間の共助の柱となった『対北政策調整監督グループ(TCOG)』に代わる制度的な装置作りなどが論議される見通しだ。また、米国の一角から提起されている軽水炉の火力発電所の代替問題については、ジュネーブ基本枠組み条約を履行する事が最優先であることを説明し、論争の拡散を遮断する計画だ。
2.金正日の答礼訪問
米国は、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記のソウル答礼訪問への可能性と最近の北朝鮮の変化については、依然として懐疑的な立場にある。特に、金総書記の答礼訪問で南北両側が、駐韓米軍問題などの米国の安保に影響を及ぼしかねない「性急な」合意を導き出すのではないかと懸念している。
こうした懸念を払拭するために、金大統領は第2次南北首脳会談で取り扱う△南北の和解協力 △緊張緩和△平和定着の方案などを提示し、ブッシュ大統領の意見を傾聴するものと見られる。金大統領は特に、金総書記の答礼訪問が朝鮮半島の和解雰囲気の持続に極めて重要であることを説明し、米国が朝鮮半島の平和の定着のために肯定的な役割を担うことを要請する計画だ。
ブッシュ大統領は、金総書記のソウル答礼訪問が朝鮮半島の安定に役立つとの事は認めながらも、北朝鮮の変化が体制の存続に向けた戦術的な変化であり得るため、これに関する検証が必要であることを強調するものと見られる。米国側は特に、北朝鮮は大量殺傷兵器の開発を諦め、従来型兵器を後方に移動させるなど、目に見える緊張緩和の措置を取るべきとの旨を力説する予定だ。
3.国家ミサイル防御(NMD)体制
これは極めて微妙な問題であるため、一角の憂慮とは反して、核心的な争点としては浮上しないとの見通しだ。政府の高位関係者は5日、「国家ミサイル防御(NMD)体制問題は今回の首脳会談で協議はされる予定だが、その結果は韓米両国が同盟関係の立場でお互い納得の出来る内容になる見通しだ」と述べた。
政府は先月27日、「対弾道ミサイル(ABM)制限条約の保存の強化」条項の含まれた韓ロ首脳会談の共同声明が発表されて以来波紋が広まったため、2日、「賛成と反対を表明せずに米政府の立場を理解する」方へ立場を取りまとめた。
政府の説明によると、「米国としても莫大な費用と技術的な問題のため、今のところNMDを実行に移し難いだけに、今回の会談でNMD問題を具体的に論議するか、韓国に対して即答を要求することはないはずだ」という。
4.韓米同盟
今回の首脳会談が韓米間の伝統的な同盟関係を再確認する場になるとの事には両国共に異論がない。
会談で金大中大統領は、韓米連合防衛体制を土台にする韓米の同盟関係が韓国の対外政策の根幹であることを再宣言し、両国間の政治、安保、経済、文化などの全分野での包括的な同伴者関係の発展を強調する予定だ。
金大統領は特に、昨年6月、南北首脳会談で北朝鮮の金正日総書記が駐韓米軍の駐屯を黙認したことを伝えながら、北東アジアの平和と安定に向けた駐韓米軍の役割を強調する見通しだ。
ブッシュ大統領も、金大統領の推進してきた対朝政策を肯定的に評価し、朝鮮半島の平和と安定に向けた韓米間の緊密な共助の必要性を言及するものと予想される。
ただ、金大統領の訪米期間の間、米国の関係者が韓国空軍の次世代戦闘機事業(FX)や陸軍の攻撃用ヘリコプタ事業(AHX)などと関連して「軍事同盟のレベル」での協力を要請してくる可能性が注目される。
5.通商問題
韓米間の通商懸案においての最大の争点は、韓米投資協定の締結問題だ。両国は協定締結の原則には認識を共にしながらも、スクリーンクォーター問題のために協商が滞っている。
米国は韓国に対して、146日である国産映画の義務上映日数を廃止するか大幅削減することを要求している。米国はこれと共に、指摘財産権の保護、自動車及び鉄鋼分野の貿易不均衡の解消などの問題も取り上げる見通しだ。特に、米国は、昨年史上最大の貿易赤字を記録しただけに、ブッシュ政府の新しい経済官僚らが自動車、鉄鋼などの両国間の不均衡交易品目について通商圧力を強化してくる可能性がある。
通商問題に関する限り、韓国は守勢的な立場である。金大中大統領はスクリーンクォーター制については、これを廃止する場合、国内の映画産業の基盤が崩壊する恐れがあることを説明し、米国側の理解を求める計画だ。