現役の経営人として活動していた頃から既に「神話的な人物」として讃えられた鄭周永(チョン・ジュヨン)前現代グループ名誉会長が他界したため、今後、現代グループは真の意味での2世の経営体制に差し掛かることになった。
創業主が死亡したとして現代グループの外見が大きく変わるとは思えない。鄭前会長は既に法的に現代グループの各系列社を息子達に譲り、息子達が経営を担当してきた。
しかし、内部的には大きな変化が予想される。
鄭前名誉会長は昨年5月、現代投資信託の経営不良事態が発生した際、「3父子の経営一線からの退陣」を宣言して以来、グループの経営から手を引いた。しかし、あまりにもその存在感が強いため、彼の陰は現代グループ内に深く広がっていた。
鄭前会長は、90年代後半から現代の各系列社の日常的な経営は息子である鄭夢九(チョン・モング)、鄭夢憲(チョン・モンホン)両氏と家臣グループに任せてきた。しかし、重要な決定は必ず彼の承諾を得なければならなかったし、その一部は彼の頭から出たものだった。
そのため、2世達は自分だけの経営スタイルを固執することが出来なかった。創業世代ではない財閥2世としての限界におかれ、父親の陰から完全に脱することが難しかったのだ。
▽財産の分割=多くの財産が既に相続されたために、財産分割を取り巡る雑音は無いものと見られる。現在、外部に露出された鄭前会長の財産は2000億ウォン程度の現金と若干の不動産があるだけ。
鄭前名誉会長は、生前に金在洙(キム・ジェス)構造調整本部長に「現代自動車の株を売却した代金は、先ず、現代建設の会社債を買い入れ、現代建設の流動性危機の解消に使った後、現代建設が回復すれば、この金で子供財団などの公益のために使ってくれ」と頼んだ。遺言状が公開されなければ分からないものだが、鄭前名誉会長はこういう意を既に遺言状に反映しておいた可能性が高い。
▽グループの将来
現代グループは現代自動車グループ、現代グループ、現代重工業などに大きく分けられる。正統性を受け継ぐジョン・モンホン会長の系列社が不良のどん底に陥っているのが特徴だ。現代グループの母企業である「現代建設の再生」が急務。
現代建設がひと昔前のように活力のある企業になれるかどうかについては、相当数の専門家が否定的な見方をしている。
専門家らの分析によると、建設業が史上最悪の不況を経験しているこの時に、再生作業はそう簡単ではないはずだという。現代建設に機会が全然ないことではない。石油価格の急騰によるオイルマネー市場が開かれる第2の中東特需がそれである。
現代建設側はリストラを通じて、先ず、国内の営業部分を縮小してから、海外建設市場で第2の中東特需に乗る場合、「世界的な建設会社」として生まれ変われると信じている。
現代電子も安心できない。半導体の価格が暴落したため、現代電子の未来も不透明になった。対北事業の収益性の確保も急を要する課題だ。
チョン・モング会長の率いる現代自動車小グループも乗り越えるべき課題は多い。先ず、自動車産業自体が世界的なメジャー会社と激しい競争を繰り広げなければならない。既に国内市場にはルノとフォードが進出しており、現代の牙城を狙っている。早速国内市場のシェアーの50%を引き渡すようになるとの予測もある。
李炳奇(イ・ビョンギ)記者 eye@donga.com