韓国の裁判所が、林昌烈(イム・チャンヨル)京畿(キョンギ)道知事の控訴審で無罪を宣告した。第一審の裁判部は、林知事が京畿銀行の統廃合を防ぐことを条件に、1億ウォンを受け取った容疑(斡旋収賄罪)を認め、懲役1年、執行猶予2年、追徴金1億ウォンを宣告したが、第二審の裁判部は、林知事が受け取った金に対する見返り的な部分が認められないと、第一審の判決を覆した。第二審の裁判部による無罪の判決は、去る1月に検察が公訴状の変更を要請した時点で、ある程度予測されていたといえる。裁判部は、特定犯罪加重処罰法上の斡旋収賄罪以外に、政治資金法違反の容疑を公訴状に追加することを要請し、検察はこれを拒否した。検察は当時、裁判部による公訴状変更の要請は、斡旋収賄罪に対して無罪を宣告する意を見せたものだとし、判決は目こぼしだとの疑惑も主張した。捜査の記録から、斡旋収賄罪が明白にも関わらず、裁判部がこれを認めずに、相対的に刑の軽い政治資金法違反を適用するために、公訴状の変更を要請したというものだった。
結果的に第二審の裁判部は、検察の予想通り林知事の斡旋収賄罪に対して無罪を宣告し、検察は到底理解できない判決だと反発することによって、今回の判決が投げかけた波紋は小さくないと見える。我々がここで注目すべきは、第二審の裁判部の判決理由である。裁判部は判決文で、林知事が金を受け取ったのは事実だが、京畿銀行の統廃合を防いでほしいとの請託を受けた証拠が無いとし、請託をしたという一部の陳述はあるが、これは検察の捏造に見えると明らかにした。しかし検察は、強くこれを否定している。与党側の実力者に対して、どんな検事が無理な捜査ができようか、というものだ。検察は、捜査の過程ですでに数十名の関係者が請託があったことを陳述しているとし、裁判部の判断に繰り返し疑問を主張している。
もちろん、法と良心による裁判官の判断は尊重されなければならないが、検察の抗弁もかなり説得力がある。同じ時期に、やはり京畿銀行から金を受け取った、林知事の夫人である朱恵蘭(チュ・ヘラン)さんに対しては、第一、二審ともに斡旋収賄罪を適用し、有罪判決を下した点から見ても、林知事に対する第二審の判決は論争の余地が少なくない。道知事候補の夫人には賄賂を贈り、肝心の候補には純粋な政治資金を渡したという裁判所の判断に、どれだけの国民が共感するか、疑問である。検察が即刻上告すると明らかにしたことによって、この事件は最高裁の判断に委ねられることになった。最高裁が包括的な賄賂に対してどのような判断を下すのか。注目が集まる。