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[社説] 狂ったとしか思えない国防日報

Posted April. 19, 2001 17:42,   

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60万国軍将兵を読者に持つ韓国の国防日報が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の革命歌劇である「ピバダ(血の海)」を名作として紹介したことは、単純な手違いとか一過性のハプニングと見るにはことが重大すぎる。南北首脳会談以降、軍の紀綱のたるんだ様を端的に見せてくれた事例だからだ。いったい、この国はどこに向かっているのか心配でならない。国防日報の3月22日付けには、北朝鮮の朝鮮中央放送が報道した「ピバダ」の1500回目の公演について掲載し、主体思想を具現した思想的内容の深奥さと、革命的大作のまことの品格を完璧に備えた名作だと紹介した。「金主席が創作・指導した革命演劇、主体思想を具現した完璧な名作」というサブタイトルもついていた。一言で、あきれてものが言えない。北朝鮮において革命歌劇は、主体思想と赤化統一理念を宣伝・扇動する主要手段であり、「ピバダ」は、「花売り娘」、「党の正しい娘」、「金剛山の歌」など、北朝鮮の5大革命歌劇のうちでももっとも代表的な作品だ。最前線でこの記事を読んだ韓国軍の将兵たちの混乱感をどうするというのか。

国防部の傘下機関である国防広報院が発行している国防日報は、1964年11月16日に創刊され、毎日12万5000部が発行される新聞だ。国防日報のインターネットサイトによると、将兵の指導と対国民広報などを主な役割としており、分隊あたりに2部が配布されているという。金東信(キム・ドンシン)国防長官は、問題の記事は北朝鮮の実態を知らせるという趣旨で、国内の他のマスコミの記事を転載したものだと弁明したが、名実共に大韓民国軍の公式代弁紙にこのような記事が掲載されたということは、いくら弁明しようが許されるものではない。南北首脳会談以降、それでなくても国家安保が軽視されているような風潮に、憂慮する声が多い。政府が南北対話にとらわれ、できる限り北朝鮮の神経を逆なでしまいとするところから発生した風潮ではないか。似た例として、林東源(イム・ドンウォン)統一部長官の10日の国会答弁が挙げられる。林長官は、主敵という概念を使用する国は無いとし、戦争関係にある時に使う言葉が主敵だと言った。対北朝鮮政策の責任者によるこのような言葉は、軍の安保意識を薄れさせ、国民を不安にするだけだ。

今、朝鮮半島周辺の情勢は急変しており、休戦ラインは依然として世界でもっとも軍事力が密集した地域だ。このような時ほど、軍の確固たる安保体制が重要だ。もちろん、南北の和平と協力は必要だが、南北対話も固い安保が後ろ盾になってこそ、より大きな推進力を得ることができる。国防部は今回の事件を単純なミスとして片づけずに、掲載された経緯を徹底的に調査し、安保体制を再点検する契機にするべきだ。