「小さくて効率の良い政府」キム・デジュン(金大中)政府が発足しながら掲げた目標だ。民間部門に対する政府の規制をできるだけ減らしている世界の流れに沿うというものだった。キム大統領が野党時代に「弾圧」を受けながら「是非を問わずお上の言いなりになる」政府組織の問題点を認識したことも作用した。
しかし発足から3年以上経った今、政府組織は日に日に拡大している。業務の面でも無理な介入が増えているという指摘もある。
▽再び大きくなる政府
現在の政府は発足直後「政府改革」を唱えて大規模な政府組織の見直しに取り掛かった。98年2月の第1回政府組織法改編でキム・ヨンサム(金泳三)政権後半の「2副総理(経済と統一)2院14部5処14庁」は「17部2処16庁」に縮小された。副総理級の財政経済院と統一院が長官級の部に格下げされ、公報処と政務1・2長官室が廃止された。経済政策を総括して調整する「自信に満ちた出発」だった。
しかし今年1月下旬の政府組織法の改編などで現在は「2副総理18部4処16庁」にまた拡大された。経済副総理の復活は納得できても、教育副総理が新設され、先進国でもあまり見当たらない女性部が誕生した。大統領の選挙公約とはいっても教育副総理と女性部の必要に関しては依然として論争が続いている。
「政権のマスコミ工作機構」という認識のせいで廃止された公報処も国政広報処に名前を変えて蘇った。公正取引委員会、金融監督委員会、中央人事委員会、中小企業特別委員会など長官級委員会も多い。青瓦台も発足当時の6首席秘書官・33秘書官体制から8首席・41秘書官体制に拡大された。社会福祉首席が教育文化と労働福祉首席に分かれ、「高級衣服ロビー事件」以降民生首席室が設けられた。
▽運営と組織の問題
現政府の発足後作られた大統領直属の中小企業特別委員会は専門性の欠如と政策調律機能の喪失で設立後3年が経っても「影の薄い」機構だと指摘されている。中小企業の関係者の1人は、「中小企業特別委員会ができた頃には大なる期待がかけられたが、今は存在理由すらよく分からない」と話している。
政府はこれまで果敢に公共部門の人員を削減したと自慢してきた。しかし一皮剥けば外華内貧だ。経済部処のある局長は、「人減らしの主な対象は日用職など下位職公務員ではないか。もちろん正規職の公務員をむやみに首にしていいのかという問題はあるが、少なくとも自慢することではない」と冷ややかな態度だった。
中央人事委員会が最近「1官4課」を「2官6課」に増やすことにしたことや各部処が競って増員を要請したのも「小さくて効率的な政府」に逆らうことだ。
最近の新聞告示の復活で物議をかもした公正取引委員会の組織に対しても批判の声が多い。政府の関係者は、「公取委が内部審議機能を備えた委員会とはいっても実際は長官級委員長の一言に幹部らが他の意見も出せずついていくしかないのが現実」だと指摘し、「公取委の組織を改編し政策と執行機能を分離するのが望ましい」と付け加えた。
▽専門家の意見
韓国外国語大学行政学科ファン・ソンドン(黄聖敦)教授は、「執権末期の公務員増員は政府の信頼の喪失を裏付けるものだ。教育副総理制度などの新設の際、行政改革市民連合などが反対するや、公務員増員はないと約束したのにも関わらずそれを守らなかった」と批判した。そして「高位職は増やし、力や後ろ盾のない部門で人員を削減するのは衡平ではないし、『政策知識が集約的』な中央政府を目指すならあえて人を増やす必要はない」と付け加えた。
ソンギュングァン(成均館)大学行政学科パク・ゼワン(朴宰完)教授は、「行政組織と関連して現政権が掲げてきた運営基調の一つが『公務員総定員制』なのに、他の部処の人員削減をせずに人員を増やす一方ならこの基調を完全に放棄するも同然」だと述べた。
ゴン・スンファル、ク・ジャリョン記者 shkwon@donga.com