欧州連合(EU)執行委員会が、韓国の造船業界を世界貿易機関(WTO)に提訴するようEU閣僚理事会に勧告したことをうけ、韓国政府と業界は「造船通商対策班」を構成し積極的に対応することにした。
産業資源部は、6月末までは2国間協議が可能であることから、15日の理事会の決議内容が発表されしだい実務関係者をEUに送り、交渉を行なうことにした。法務法人「世宗(セジョン)」とブリュッセル所在の「クッセルブラザーズ」を造船紛争の法律代理人に選任し、法的な検討を行なっている。
△EUの主張
輸出入銀行による造船業界の輸出金融の支援とワークアウト(企業改善作業)及び法定管理(日本の会社更正法に当たる)状態の大宇(デウ)造船、漢ラ(ハンラ)重工業に対する債権銀行団の出資転換(借入金などの債務を資本金に転換)や負債の帳消しなどの措置を政府の補助金とみなす。90年代、韓国の過剰な設備投資の影響で世界造船市場にダンピングなどが発生し秩序が乱れ、これによって欧州の造船業界が経営悪化と失業者増加などの被害を被っているということだ。
韓国の造船業界をWTOに提訴する場合、判定が出るまで、昨年末に廃止された補助金を復活し、被害を受けた欧州の造船業界に最高14%の補助金を支給する計画だ。
△韓国側の立場
韓国の受注増加と割安の受注は、ウォン安と技術力の向上に伴う価格競争力が強化されたためで、原価以下のダンピングではないと主張する。韓国政府は補助金を支給しておらず、債権銀行団は「継続価値」が清算価値より大きいという商業的判断から、債権回収のため自律的に支援したもの、と説明した。輸出入銀行も造船所の製作能力や信用状態など危険度を判断して融資していると、という。
△展望
政府は、EUとの友好協力関係や交易規模などを考慮し、2国間協議を通じて造船紛争を円満に解決する方針だ。業界によると、造船分野はWTOの反ダンピング協定の対象にならないため、仮に敗訴しても政治的意味の他には特に制裁手段がない。またEUが欧州の造船業界に補助金を与えても、国内業界の競争力が高いため被害は大きくないと見込んでいる。しかし政府は、韓国の他の主力輸出品目への報復措置を防ぐため、EUが要求する一部船舶の価格の引き上げ、輸出入銀行の融資の審査基準強化などの対策を業界とともに協議していく考えだ。
金相哲 sckim007@donga.com