オックスフォード・バレー辞典は、グリガロビッチについて「きわめて優れたクラシックバレーの振付師であり、生まれつきの優れた才能を持っている制作者。彼の指導力によってボルショイバレー団は生まれ変わった」と書いている。
1964年、芸術監督を担当した「白鳥の湖」、「クルミ割り人形」など古典の改作に優れた才能を見せたほか、「スパルタクス」などスペクタクルな大作も作り出した。
エープマンは77年、「ボリスエープマンバレエシアター」を設立したあと、古典バレーのテクニックに現代舞踊の表現力を結びつけた作品で注目を集めてきた。なかでも、文学の香りと哲学の深みをうかがわせる彼特有の作品は、世界のバレー界でも驚きと羨望の的として受け止められている。
韓国芸術総合学校のキム・ヘシク舞踊院長は「二人の作品をソウルでほぼ同時に見られること自体、またとない幸運」とし、「グリガロビッチはクラシックバレエの過去と現在を、エープマンはバレエの未来を象徴している」と述べた。
エープマンは今回の公演で、自らの代表作3本を上演する。
「チャイコフスキー」(27日午後6時、28日午後8時)は94年に公演されたが、「ジゼル」(29ー31日午後8時)、「カラマーゾフの兄弟」(6月1日午後8時、2日午後3時半、7時半)は韓国では初めての公演となる。
「ジゼル」は、ロシアの伝説的なバレリーナであるオルガ・スペシフチェハの生涯をモチーフにした作品。オルガは、20世紀初めに世界のバレーを牛耳っていたディアギレフ舞踊団「バレエルイス」に参加して「歴史上最も美しいジゼル」との評価を受けた。ロシア革命でヨーロッパとアメリカで亡命生活を送り、20余年間精神病に苦しんだ結果、91年にアメリカで悲運の生を絶った。エープマンは、透明で赤いベールと白いジゼル衣装に赤い靴を履いているスペイシチェハの絵を見て、作品のタイトルを決めた。特に暗闇を背景にした男女二人の2人舞は、理念と時代の暴風の中で苦しみを抱えていたバレリーナの内面の葛藤が観客を震え上がらせる。
ドストエフスキーの同名小説を約2時間のバレエ劇にした「カラマーゾフの兄弟」は、舞踊を通じて文学と哲学の深みを表現したと評価されている。なかでも、第2幕では哲学と宗教、人間の本性に対する葛藤が舞踊動作として表現される。スペシフチェハ役のエレーナ・クズミナなど40人余りの舞踊家が今回の公演に出演する。1万5000〜6万ウォン。02−2005−0114
国立バレー団が公演する「白鳥の湖」は、魔法にかかって白鳥となったオデットとジークフリート王子との恋物語で、国内ファンからも人気の高い作品。国内で初めて公演されるグリガロビッチ版では悪魔ロトバルトの役割が目立ち、ハッピーエンドで終わる。
第2幕に追加されたロトバルトとジークフリートの男性2人舞、宮殿の舞踏会場で披露される各国の踊りなど、グリガロビッチ独特の群舞を活用したダイナミックな踊りが観客を魅了するものと思われる。イ・ウォングクーキム・ジュウォン、チャン・ウンギューキム・ジヨン、シン・ムソプや今年入団した同名のキム・ジヨンなど、3組のカップルがオデットとジークフリートの役を演じる。入場料2万〜6万ウォン。TEL 02−580−1300。
金甲植 gskim@donga.com