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[フォーラム] 財閥論争は本質ではない

Posted May. 17, 2001 10:42,   

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今の国内の現状を見ていると、遠い国のあきれた昔話が思い浮かぶ。

「飢饉が深刻だった時、ある村に数頭のブタを飼っているブタ飼いがいた。家族がいくら飢えに苦しんでも、ブタを手放すまい言い張っていたある日。村人たちが家に押し込んできた。鉄砲の撃ち合いとなる大騒ぎになるや、これに驚いたブタは家中を逃げ回った。その結果、必至に抗戦するブタ飼いにとって逃げ回るブタが邪魔となってしまった。怒ったブタ飼いは大切に育て保護しようとしたブタを外に追い出し、抗戦に熱中した」という話だ。

日常生活を過ごしていると、自分がしていることに没頭するあまり、事を台無しにする愚を犯すことがある。走ることが目的ではなく、目標地点に早く到達することを目的に走るなら、目標地点とは反対の方向に走りながら早く走っているとは自慢できない。

成し遂げようとする目的とそのための手段を混同することは、愚かなブタ飼いがするようなことだ。

ところで最近の財閥関連政策をめぐる政府と財界、そして与野党間の攻防を見ていると、目的意識を見失ったブタ飼いと同じではないかと懸念される。外国為替危機以後、政府と政界は言うまでもなく、財界と企業が一同に口をそろえて主張してきた「企業の構造調整」は、それ自体が目的ではなく、企業の能率向上を通じた国際競争力の強化のために選択せずにはいられない手段なのだ。

このような構造調整は、過去とは違うグローバル時代の激しいな競争を生き残るために、財閥企業を含むすべての企業が自ら選択せずにはいられない苦痛を伴う過程だ。

その間、政府と企業がともに推進してきた企業構造調整のための政策と措置は、大きく2つに分けて考えられる。第一は、過去の不良債権を整理することによって企業の競争力を強化することだ。第二に、過去に行われてきた不健全な経営の繰り返しを断ち切り、大競争時代に生き残るための競争力強化に役立つ未来志向的な各種制度を導入することだ。国民の税金で充てられる莫大な公的資金を投じて不健全な金融機関を整理し、問題となる企業に対しては「ウォークアウト」(企業経営改善作業)を通じて過去における過剰投資と重複投資問題を解決する。また財閥企業の脆弱な財務構造の改善と核心主力事業を強化を狙った「ビックディール」(事業交換)も過去の負の遺産を整理するのための構造調整だった。とは言え、現在問題となっている一部の産業を見ると、果たしてビックディールが該当企業の財務構造改善と主力事業分野の強化という目的の達成にどれほど寄与したのか疑問視される面が多いのも事実だ。

このような過去の負の遺産を整理するための措置とともに、△企業経営の透明性向上△財務諸表作成基準の国際化△連結財務諸表作成の義務化△社外理事制の導入△小口株主の権益保護——など、企業の支配構造を改善するための各種の措置は、より未来志向的な競争力向上に必要な構造調整であった。これと関連して見逃せないことは、企業支配構造の改善のための制度的な装置と経営の透明性向上のために必要な制度の導入は、今だ遅々として進んでいないという点だ。

しかも市場機能による常時退場制度の基盤となる企業倒産関連の新法については、論議の段階に留まっている。

この時点での企業構造調整の論議の焦点は、当初目指していた構造調整の目的達成の如何とその進捗状況に合わせなければならない。

ところが、最近論議を呼んでいる財閥企業の目標負債比率と総額出資制限をめぐる議論は、反財閥か親財閥かと言った理念的な面や単純な景気浮揚の面にその焦点が合わせられており、目的意識の喪失による愚を犯すのではないか懸念される。今後第2、第3の経済危機を事前に予防するためにも、この時点で何をすべきかをもう一度点検する時だ。

司空壹(サゴン・イル、世界経済研究院理事長)