国内では人間複製とヒト胚(はい)の複製が禁止される。また胚研究も不妊治療を目的にした時に限って制限的に許容される。
科学技術部傘下の生命倫理諮問委員会(委員長、チンキョフン・ソウル大教授)は、このような内容を骨子とした生命倫理基本法(仮称)の試案を18日発表した。
試案によると、不妊治療を目的にした時以外には卵子と精子を結合させ胚を作ってはならく、同方法で作られた胚に関する研究も禁じられる。但し、不妊治療を目的に入手した胚のうち、廃棄される「余剰冷凍胚」に対する研究のみが期限付きで許容される。
冷凍胚についての研究も各研究機関の審査を経なければならなく、大統領直属で設けられる国家生命倫理委員会傘下の人間胚芽特別管理委員会がこれを監督することになる。
胚とは、精子と卵子が受精してから2ヵ月以内の初期生命体のことで、ここから得られた幹細胞は身体のあらゆる機関機関の細胞として成長できることから、これまで難病治療の重要な研究対象になってきた。
ファン・サンイク試案作成所委員長(ソウル大医大教授)は、「胚は法的な地位は持たないものの、尊重されるべき厳然たる生命体だ」と述べ、「今回は期限付きで余剰胚の研究を許容したが、結局は成人の幹細胞の研究だけを認めることになるだろう」と付け加えた。
試案は、個人の遺伝情報を理由に就職や保険加入などで不利益を被らないよう規定したほか、胎児の遺伝検査は法律で認められている遺伝疾患以外は制限することにした。また人間と動物との種間交雑行為も禁止される。
科学界の一部からは、今回の試案に対して憂慮する示す声が出ている。
体細胞核移植方法でヒト胚を複製した経験のある黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大教授は、「韓国におけるヒト胚の幹細胞で損傷された臓器細胞を作る研究はすでに世界的な水準」だと言い、「これが原案通りに通過すればすべての研究を中断せざるを得なくなる」と述べた。
また倫理問題で論争を呼ぶ可能性のある生命科学関連特許については、「国家生命倫理委員会」が審議決定することにしたため、省庁間の業務領域をめぐり議論が予想されている。
試案は、22日にソウルの世宗(セジョン)文化会館で開かれる公聴会などを経て政府案として確定された後、今年秋の通常国会に上程される予定だ。
李永完 puset@donga.com