インドネシア議会が30日、ワヒド大統領の弾劾を決定する国民協議会(MPR)特別総会の召集決議を採択することが確実となり、インドネシア政局が最悪の混乱状態に陥っている。
メガワティ副大統領が率いる最大野党、闘争民主党(PDIP)とゴルカル党など500議席のうち397議席を占める6政党は、この日の票決に先立って行われた政党別会議で、ワヒド大統領の弾劾を目的とするMPR特別総会の召集に対する支持を表明した。
ワヒド大統領はこの日、2件の政治資金疑惑に大統領本人はかかわっていない、との検察の捜査結果と国政運営改善の実績を内容とする解明書を議会に提出したが、反対派議員らを説得するには力不足だった。
議会の弾劾への意志が固いことにより、ワヒド大統領は国家非常事態を宣布して危機を真っ向から突破するか、MPR特別総会が開催される前に野党に妥協案を提示して政治的解決策を探るか、の選択に迫られたものと見られる。
これと関連して、ワヒド大統領側は、議会の弾劾手続きの強行を阻止するため「政敵に対し逮捕令を下す」と脅しをかけたと、インドネシアのアンタラ通信が30日報道した。ヤフヤ大統領官邸スポークスマンはこの日、「最近発令した準非常事態を民主主義に逆行する人物を逮捕するのに活用できる」と明らかにした。
アクバル・タンジュン下院議長兼ゴルカル党党首を始めとする37人のワヒド反対派議員は30日、警察に24時間の身辺警護を要請している状態だ。
この日議会の本会議が開かれている間、首都ジャカルタとワヒド大統領の支持基盤である東ジャワでは、議会の弾劾の動きに反対する数万人のデモ隊が3日間鎮圧部隊と対峙、抗議行動を展開している。
最も激しいデモ行動が起こった東ジャワのパスルアンでは、デモ隊がキリスト教の教会と警察の建物などを攻撃し、学校と企業が暫定休業に入るなど無政府状態に陥った。
デモ隊数千人はこの日、東ジャワのシドアルジョやパスルアン、クレーシクなどで「ワヒド守護決議大会」を開催した後、主要道路を占拠し首都スラバヤ入りを試みたが鎮圧部隊と対峙、石や火炎ビンを投げ激しく抵抗した。
3日間続くワヒド支持派のデモ行動で、東ジャワ地域では5つの教会が放火され、野党事務所と学校が火炎ビンの攻撃を受けるなど、破壊行為が行われた。インドネシア政府はこの日、約600人の特殊部隊をこの地域に緊急投入しデモ隊を解散させた。
ジャカルタでは、東ジャワから到着した約4000人のワヒド支持デモ隊が、プラカードとポスターを掲げ大統領官邸から議事堂前まで街頭行進を行なうなど、約9000人のデモ隊が都心の至るところで抗議行動を展開したが、今のところ流血事態は発生していない。
デモ隊3000人は、議会で票決が実施される直前に議事堂正門に集結して議事堂内に突入しようとして、警察と対峙した。警察はG15発展途上国首脳会談が開催されるコンベンションセンター付近一帯と議事堂の周辺に、装甲車40台と約6000人の兵力を配置したのをはじめ、ジャカルタ全域に約4万人の警察を配置し、治安維持のために総力を注いでいる。
洪性哲 sungchul@donga.com