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[社説]米国の「鉄鋼保護」政策は正しくない

[社説]米国の「鉄鋼保護」政策は正しくない

Posted June. 06, 2001 12:33,   

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ブッシュ米大統領が米商務省傘下の国際貿易委員会(ITC)に鉄鋼輸入に対するセーフガード(緊急輸入制限)措置の発動を検討するよう指示したことによって、世界鉄鋼業界に大きな波乱を起すものと見通される。米通商法第201条に基づいたセーフガードの発動は、ITCの実態調査を経て大統領が最終決定する。今回の場合、年末ごろその是非が決まるものと見られる。

ブッシュ大統領がこうしたセーフガードの発動に向けた調査を要請したのは、LTVスチールを始めとする米国の多くの主要鉄鋼会社が崩壊しつつあるためと伝えられている。

ITCはこれを受けて、今後韓国と欧州連合(EU)、日本、ブラジルなど15の対米輸出諸国と接触し、米鉄鋼産業に悪影響を及ぼしているかどうかを調べる。ブッシュ大統領の直接指示であるだけにセーフガード措置の発動を勧告する可能性が高い。

事実上、ブッシュ大統領の今回の指示は、正当ではないというのが韓国政府の判断だ。ブッシュ大統領は、「鉄鋼産業の不公正貿易慣行への対応」だとコメントしているが、米鉄鋼産業が崩壊しつつあるのは外国の不公正貿易慣行のためではなく、米業界自体が競争力を喪失しつつあるからだ。ゆえに「米国が鉄鋼産業の構造調整費用を他国に押しつけようとしている」という国際社会の批判がすでに出ている。

それだけでなく米国がそうした輸入制裁措置を取る場合、国際鉄鋼市場の混乱は必至だ。米国がひたすら自国の国益だけを求める独善的な行動に出るとすれば世界をリードする国とは言えない。

米鉄鋼輸入市場において韓国のシェアは約7%でEU、カナダ、メキシコ、日本などと共に主要鉄鋼輸出国に属する。しかし、昨年米市場に240万トン(約9億8000万ドル)の鉄鋼を輸出した韓国は、すでに14の鉄鋼製品品目に対し輸入制限を受けているため、今回再び制裁措置が取られれば、途方もない打撃を受ける公算が大きい。業界では、現在輸出している物量の40%以上が減少するものと見通しているなど、問題が深刻だ。

政府は米国に対する通商交渉をさらに強化し、韓国鉄鋼産業の実情と鉄鋼輸入制裁の不当性を米国側に明確に認識させるべきだろう。そして、日本・EUなど主要関連諸国と世界貿易機関(WTO)に提訴する方策を作るなど国際的な共同対応策も積極的に模索すべきだろう。