21世紀を生きる子供達は異なる文化との共存、人権擁護、環境保護、食糧安保、異宗教の葛藤、水不足、エネルギー問題など地球規模の問題に直面しなければならない。
国連は2001年を「文明同士の対話年」と指定した。相互依存性が一段と深まっていると同時に、グローバル化が進む現在、国際理解教育は必要不可欠なものとなっている。
国際理解教育は異文化に対する理解、自国文化に対するアイデンティティ−の確立、人類の普遍的価値に対する理解と実践、環境など世界的な問題に対する自覚、世界システムへの認識と理解を必要とする。子供達はこの教育を通じて多文化社会と相互依存の世界を生きる上で必要な知識と態度、技能を啓発することができる。これは未来を準備する過程において決して疎かにできない教育なのである。
しかし、韓国国内の小中高校での国際理解教育に対する関心はきわめて不十分である。現在行われている国際理解教育は、教育部とユネスコ韓国委員会が共同で98年から全国130小中高校を対象に開始している「外国人と共にする文化教室」(CCAP)、ユネスコ韓国委員会が全国69校を対象に行っている「ユネスコ 協同学校事業」(ASP)、ユニセフ韓国委員会が繰り広げている「地球村クラブ」に過ぎない。
第7回教育課程は学校の必要性と生徒の要求、地域の特殊性を最大限反映するため、教育課程に裁量活動時間を組み入れることで国際理解教育を体系的に実施できるきっかけを作っている。これは教科活動と特別活動に新たに追加された第3の領域だ。各小中高校は裁量活動時間に国際理解教育、保健教育、進路教育、人性教育など15科目のうち裁量権をもって選択して教えることができる。
しかし、国際理解教育を活性化させるためにはいくつかの課題がある。
第一に、教育に対する視点を新しく見直さなければならない。競争指向的な教育よりは人と共に暮らす教育を大切にする風土が生まれなければならない。
第二に、学校現場で即時に活用できる多様な国際理解教育プログラムが開発されなければならない。
第三に、地域社会の様々な資源を国際理解教育に活かさなければならない。地域社会の多様な人的・物的資源と生徒たちをつなげる体験学習プログラムを実施すれば、教室の壁を飛び越える国際理解教育を実現することができる。
第四に、現場で教育を担当する教師を確保する必要がある。従って教師たちが国際理解教育に対する見方と理解を広げることができるよう教師養成過程と研修過程にこの部門を含めなければならない。
第五に、国内在住の外国人、国際理解教育の分野別専門家、在外韓国人、国際経験の豊かな地域社会の知識人などを補助教師や教師として活用する教育行政の破格も必要だ。
生徒たちはこうした国際理解教育を通じて自らのアイデンティティ−を確認すると同時に、世界の中で変化の主体として生きていく上で必要な基本的な知識と態度、技能を身に付けることができるだろう。
キム・ジョンフン(ユネスコ・アジア太平洋国際理解教育院研究発展部長)