▲はやり目を引き起こすウイルス〓夏場のはやり目の主犯は「アデノウイルス」と「エンテロウイルス」の2種類。これらのウイルスが目に侵入して様々な副作用を引き起こすことになる。
通常、はやり目にかかった患者の目やにと涙などに侵入しているウイルスが、手や物を通じてうつる。空気中では感染しないため、はやり目の患者と目を合わせてはいけないというのは誤った俗説。
これらのウイルスは、いずれも感染力が強いため、家族の中で一人でも患者がいれば、全員が感染するケースが多い。
普通、ウイルスは生物の体内に寄生するが、アデノウイルスは条件さえ合えば、体外でもかなりの期間生存することができる。従って夏場、水の取替えを頻繁に行わないプールや湿ったタオルなどは、このウイルスの格好の住処となる。
▲類型別の症状〓概ね、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、咽頭結膜熱などに分けられる。最も多く発生する流行性角結膜炎は、アデノウイルスが原因。普通、感染後一週間くらいの潜伏期を経て症状が現われる。
突然の目の充血やごろごろした異物感、かゆみとともにまぶたとリンパ腺が腫れることもある。両眼に発生するが、先に発病した目の症状の方が重い場合が多い。発病後一週間が最もうつりやすく、三週間〜一ヵ月ぐらい治療を受けると次第に症状が良くなってくる。「アポロ病」ともよばれる急性出血性結膜炎は、エンテロウイルスの感染でおこる。
8〜48時間の短い潜伏期を経て、多量の涙と異物感およびかゆみなどを伴い、結膜下の出血がみられ目が赤く充血する。一部の患者は、両耳の下のリンパ節が腫れたり、高熱のほかに体がだるく、筋肉痛に悩まされることもある。十分な休養をとるなど管理さえ注意すれば、合併症もなく一週間くらいで治る。
主として、子どもに多く発生する咽頭結膜熱もやはりアデノウイルスが原因。一週間の潜伏期を経て咽頭炎、全身発熱などの症状とともに目の充血、結膜炎などがみられる。子どもの中には高熱や下痢などの症状を伴うこともある。
▲予防および治療法〓現在のところ、ウイルスを撲滅できる特効薬がなく、炎症を抑える目薬と抗生物質を使って2次感染を防ぐのが最善の方法。
しかし、発病者の30〜40%は、2次感染でウイルスに角膜表面の上皮細胞を冒され、一時的に視力が低下する場合もあるが、2〜3ヵ月くらいで正常に戻る。特に、5才未満の幼児は免疫機能が弱く、症状がひどくなると結膜が充血する一方、黄色い膜ができてこれを取り除く手術を受けることもある。従って、目が充血して目やにが多く痛みが激しくなれば、早めに医者にかかったほうが良い。
殆どの目薬に入っているステロイド成分は、長期間使用した場合、緑内障などの合併症を引き起こす恐れがあるため、必ず専門医の指示に従って使用するようにしなければならない。
このほか△外出した後は必ず手を洗うこと△汚れた手で目をこすらないこと△公共の場所にある物にはなるべく触らないこと△タオルやコップなどは別にして個人で使うこと、などの予防事項を必ず守ること。
(アドバイス=ソウル大学病院眼科カク・サンイン教授、高麗大学安岩=アンアム=病院眼科キム・ヒョミョン教授)
尹相虎 ysh1005@donga.com