ブッシュ米大統領が12日、就任後初めて欧州を歴訪の途についた。今回の訪問は、北大西洋条約機構(NATO)および欧州連合(EU)首脳との協議、プーチン・ロシア大統領との首脳会談を予定しており、米国新政権の対外政策とブッシュ大統領の外交能力が試される契機になるものと見られる。
しかし、ブッシュ大統領の死刑制度の擁護、温室効果ガス排出削減を義務づけた京都議定書の反対、ミサイル防衛(MD)体制推進などを非難する欧州各国のマスコミ報道と抗議行動が相次いでおり、ブッシュ大統領の今回の歴訪は、平坦ではないものと見られている。
ブッシュ大統領の最初の訪問先であるスペインのマドリードでは、11日に次ぎ12日にも数千人の市民団体員が米国大使館の前に集まり、11日に処刑された米オクラホマシティー連邦ビル爆破事件の主犯ティモシー・マクベイの肖像画とロウソクを手に抗議行動を繰り広げた。
彼らは、マクベイに対する死刑執行は、「政府レベルの報復」であるとのEU加盟国の反対表明に対し、ブッシュ大統領が11日、「死刑執行は正義の実現」であると支持したことを非難した。
彼らはまた、ブッシュ大統領がテキサス州知事時代に、152人の死刑を承認したと非難した。ドイツ政府も11日、一切の死刑執行に反対する立場を表明し、欧州会議(CE)と 国際赦免委員会もブッシュ大統領の死刑制度擁護を非難した。
ブッシュ大統領が13日に訪れるベルギーのブリュッセルでも、国際環境団体のグリンピースなどの民間団体会員らが、11—12日の両日、米国大使館の前で「ストップ、ブッシュ!地球を守ろう」などのプラカードを掲げ抗議行動を行なった。彼らはさらに、ブッシュ大統領が軍縮に逆行し、米国中心の強圧的なグローバル化を推進していると非難した。
特に、シラク仏大統領は12日、ブッシュ大統領が反対する京都議定書を支持するために、欧州各国が一致団結しなければならないと促した。
ドイツやフランスの各紙は12日、ブッシュ大統領の保守的な政策を批判する記事を掲載し、ドイツのドイチェジャイトゥン紙は、ブッシュ大統領を「ガキ大将ブッシュ」と表現した。
一方、ブッシュ大統領は、マドリードへ発つ直前のホワイトハウスでの演説で、米国は友邦国家との地球温暖化対策に向けて「指導的な役割」を担うことを表明した。
ブッシュ大統領は、地球温暖化に関する研究と温室効果ガスの排出削減技術の開発のための資金の確保が必要だとし、米国はこれに向け、開発途上国に2500万ドルを支援すると明らかにした。
しかしブッシュ大統領は、温室効果ガス排出削減を義務づける京都議定書は非現実的だとし、改めて反対意思を表明した。
また、ブッシュ大統領は11日、フランスのル・フィガロ紙との会見で「ロシアと欧州国家にMD推進の大義名分を説くために欧州を歴訪することにした」と強調した。
フロディEU執行委員長は11日、ブッシュ大統領と地球温暖化問題をはじめとする争点について率直な意見交換を行なうと述べ、「米国が保護主義的かつ独善的な傾向に陥らないように」と注文した。
權基太 kkt@donga.com