「突然変異スト」。金浩鎮(キム・ホジン)労働部長官は14日、記者懇談会で大韓航空労働組合のストをこのように名づけた。歪んだ異常な労働争議に対する慨嘆の意味が込められていた。
今回のストは「無理な争議」がもたらしかねない副作用を端的に示した。労組が運航規定審議委員会の同数構成と外国人操縦士の削減など、労働条件とはまったく関係のない要求を突きつけたことに対し、中央労働委員会は「争議の対象ではない」と判定した。
したがって、今回のストは不法だったと言える。労使は争点の解決には成功したものの、ストの不法性のため、主導者の民・刑事上の責任問題の取り扱いで妥結に時間がかかった。しかし、指導部の刑事処罰は避けられないものと見られ、市民と労組がともに打撃を受ける結果となった。
労働部の関係者は「労組が『高所得者が金に目がない』との非難を避けるべく、安全運航という名分を打ち出したのが、かえってマイナスに働いた」と分析した。
民主労総の勢力の誇示に大韓航空操縦士労働組合が動員されたのではないか、との疑惑もまだおさまっていない。民主労総はこれを否定した。しかし、高所得者のストに納得のいかない人が多い。あるタクシーの運転手は「『弱者のように見える』人たちがストを起こすべきではないか」と言った。
専門家たちは労働界の貧富の格差を懸念する。労使政委員会の公益委員を務めていた、ある人は「上部団体が影響力の強化を狙って波及効果の大きい事業所を前面に押し出すが、そのような企業の労働条件は相対的に良好だ」とし、「このような慣行はパワーのある労組はより多くのことを取り付け、ほんとうの『弱者』は取り残される異常な現象を生んでいる」と述べた。
民主労総が求める非常勤勤労者の保護や週二日制などは、まぎれもなく弱者のためのものだ。また、上部団体は一人では戦い難い労組を手助けするために存在する。警察の投入を無条件「弾圧」だと叫んで勢力の誇示にこだわるより合理的な民主労総の姿を示すべきだ。
金俊錫 kjs359@donga.com