昨年11月に映画「共同警備区域—JSA」のフィルムが北朝鮮に渡された。金正日(キム・チョンイル)総書記の要請によるものだ。
南北首脳会談以来、これまでの1年を振り返ってみると、「JSA」フィルムが手渡されたのは南北共同宣言の間接的な成果だと評価できる。南北首脳会談は南北の文化交流のみならず韓国の文化形成と文化意識に大きな影響を与えている。
まず、少なからぬ文化交流が行われた。第1次南北文化相会談、マスコミ社長団の訪朝、KBSの白頭(ぺクトゥ)山での生放送、唱劇団「春香伝(チュンヒャンジョン)」の平壤(ピョンヤン)公演、歌手金蓮子(キム・ヨンジャ)の咸興(ハムフン)公演、また平壤で南北の歴史学者たちが集まり日本の教科書歪曲に対して口をそろって批判したこともある。
北朝鮮見直しの一環として北朝鮮の文化が韓国に紹介される事例も増えた。「李朝実録」、「朝鮮文学」のような北朝鮮の出版物が正式契約を通じて輸入され、ソウルに北朝鮮専門書店の「デフン書籍」も登場した。北朝鮮の郷土歴史学者が韓国の出版社と契約を結んで出刊した「開城(ケソン)物語」、南北共同出版物の「野談三千里」も注目を集めた。
南北の作曲家が共同制作したアルバム「我々は一つ」をはじめ北朝鮮の歌謡アルバム「統一少女」、北朝鮮の映画「安重根が伊藤博文を撃つ」、「林巨正(イム・コクチョン)」、「プルガサリ」など北朝鮮の大衆文化も紹介された。こうした現象は北朝鮮に対する漠然とした抵抗感を払拭し、北朝鮮を見直そうとする活発な動きを反映したという点で意義がある。
しかし、全体的に見ると政府レベルの文化交流は期待に及ばなかった。南北関係の鍵である政治・経済分野の交流が難航し、文化分野の交流にも影響を与えたからだ。南北が合意していた宗教人代表団の訪朝も実現せず、金剛山(クムガンサン)の新溪寺(シンゲサ)跡地の南北共同発掘に対する期待も大きかったが、残念ながら目に見える進展はなかった。
多くの民間団体の計画も実現しなかった。これは状況を正確に判断せずにただ調子に乗って「展示用」の計画を乱発した結果だという批判もある。これとともに今後は政府と民間レベルの緊密な協力が必要だという指摘も出ている。
また専門家たちは、南北がより緊密かつ専門的な準備と論議を進める必要があると指摘する。開城工業団地の開発と関連して、開城地域の文化財に対する調査なしに開発を強行するのは文化財を破壊することだという憂慮の声が相次いで出ているのも、このような文脈からである。
李光杓 kplee@donga.com