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[社説]北朝鮮脱出者問題と北朝鮮住民の人権

[社説]北朝鮮脱出者問題と北朝鮮住民の人権

Posted July. 01, 2001 10:43,   

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中国北京の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に難民認定を求めて駆け込んでいた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からの脱出者、チャン・ギルス君の家族7人が同事務所でろう城してから5日ぶりに無事ソウル入りできたのは大変幸いなことだ。

ギルス君一家の波瀾に満ちた人生は、現在中国大陸を転々している北朝鮮脱出者らの惨状をそのまま見せてくれている。UNHCRの統計によると中国に滞在している北朝鮮脱出者らはおよそ3万人に上る。勿論、彼らのなかには食糧を得るため一時的に国境を超えた人や朝鮮族の親戚を訪問し相当期間にわたって不法滞在している人々もいるだろう。

しかし、北朝鮮に戻れなかったり帰る意思がなく長期間の隠れ逃避生活を送っている脱出者らの事情はあまりにも切ない。彼らが中国で営んでいる生活はそれこそ人間として最低のものだ。数千人に上ると見られている脱出者らの大半は「ソウル行き」を望んでいるが、実際に夢が叶えられた人は昨年の場合300人余に過ぎなかった。

そうした脱出者らの法的地位問題については議論があるのが事実だ。中国側は「1951年の難民地位に関する協約」などをあげて政治的迫害でなく、経済的な理由から北朝鮮を脱出した人々は難民ではないという主張を堅持している。しかし、人権侵害や経済的苦痛のため避難してきた人も難民と認めるべきだという最近の国際社会の推移から見る時、大部分の北朝鮮脱出者らを難民として認めるのは当然と言えよう。

人道的レベルから見ればさらにそうである。彼らが中国でどれだけ悲惨な生活を送っているのか、途中で北朝鮮に連れ戻される場合どれだけ惨酷な刑罰を受けるかについては、改めて言及する必要もなかろう。

中国は、ギルス君一家の問題をめぐって北朝鮮と緊密な外交的接触を行い、その結果問題を迅速に解決できるきっかけを掴んだようだ。双方間で今後の北朝鮮脱出者問題に関するいかなる合意があったのかは明らかではないが、今回のギルス君一家のケースが一つの肯定的な前例として働くことを期待したい。

中国と北朝鮮当局は、何よりもギルス君一家の事件で北朝鮮脱出者に対する国際社会の関心が高まった事実に注目して欲しい。その面で、韓国政府もやはり北朝鮮脱出者問題の解決に向けてさらに細かい外向的努力を傾けなければならないだろう。根本的には韓国政府や民間団体などが北朝鮮住民の人権問題に対し、さらに深い関心を示すことが肝要だ。