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しなやかに歌うロック歌手、ユン・ドヒョン

しなやかに歌うロック歌手、ユン・ドヒョン

Posted July. 09, 2001 09:59,   

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ロック歌手のユン・ドヒョンは愛をどのように告白するのだろうか?

ステージの上では、まるで獅子の咆哮のごとく聴衆を圧倒する彼だが、いざ愛する人の前では「僕のところに来てほしい」の一言も言えずに、もじもじしてしまいそうだ。

最近リリースした「ユンドヒョン・バンド」の5枚目アルバム「ア−バナイト(an Urbanite・都会人)」のタイトル曲「僕のところに来てほしい」は、若者のはにかんだ笑顔が一杯の、メロディーとサウンドが愛らしい歌だ。ユン・ドヒョンのボーカルからは、耳元をくすぐるような感じが染み出ている。

そこには、これまでのユン・ドヒョンらしさが消えている。

「レコーディングの間ずっと笑いっぱなしでした。なんだか照れ臭くて、お手上げの時もありました。その一方では、こんな歌い方もあるんだと、目からうろこが落ちた気もしました。実のところ、これまでは喉から力を抜いて歌うということを知らなかったんです」。

ユン・ドヒョンの慎ましやかな姿勢はここで止まらない。美しい叙情豊かな「僕は自分を愛するすべを知りませんでした」、淡白なギター演奏をベースにした「ペパーミントキャンディー」、荘重なサウンドが引立つ「そのままで」、軽快なリズムの「言葉なき祝祭」などが、彼の変化した姿を伺える曲の数々。

彼のこのような変化は、昨年のメンバー交替と音楽に対する悩みの結果といえる。ユン・ドヒョンは「音楽を止めてペットショップを始めようと、下見をしたこともある」というほど辛い時期があり、そうした苦痛が「しなやかで都会的な音楽」ができる歌手へと成長させたのだ。とりわけ、2人のメンバーと別れ、ジャズギターの腕を研いたホ・ジュンを新たなメンバーとして迎え入れたことで、サウンドがさらに洗練され豊かになったというのが彼の説明。

ユン・ドヒョンは、韓国の正統派ロック界の看板スターだ。ユンは95年のデビュー時から「この世の中でロック歌手として生きること」を忠実に守ってきた。その彼が「ロックの喊声」を諦めるはずがない。

再びVO1.5の中身に戻ってみよう。ロックオペラ「ケトンイ」の挿入曲「いったい人間たちは」、詩人パク・ノヘの詩「この地に生きるために」、為悪を詰り自己反省を求める「鏡」、ベトナム戦における米軍の良民虐殺を皮肉った「ハノイの星」などの中で、彼は依然として強烈な獅子吼を吐出している。

ところが「この地に生きるために」「いったい人間たちは」は、KBS・SBSなどのテレビ局から放送不適格判定を受けた。「この地に…」は、97年発売のVO1.2に収録され「作家が国家保安法で拘束されている」という理由で禁じられたが、今回は「労働者中心の偏った考え方」がその理由。「いったい人間たちは」は、卑俗語の使用が不適格の理由とされた。

ユン・ドヒョンは「この世でロック歌手として生きることがどれほど孤独なことか実感する時が多いけれど、放送が主な活動の場ではないので、気にしない」としている。

彼は、アルバムの発売を機に6日から23日までの15日間、長期公演を行っている。コンサートチケットは、コンサート開始日の一週間前にすでに90%が販売された。アルバムも、ロックのアルバムとしては珍しく、最初に注文した6万枚があっさり売切れ、再注文が入っている。



許鎏 heo@donga.com