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富川映画祭の閉会作品に選ばれたミステリー映画「ソルム」

富川映画祭の閉会作品に選ばれたミステリー映画「ソルム」

Posted July. 12, 2001 19:13,   

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第5回富川(ブチョン)国際ファンタスティック映画祭の閉会作に選定されたミステリースリラー「ソルム」(恐さのあまり身の毛がよだつという意味)は、連続殺人事件を扱っていながら、そう易々と「血のにおい」を漂わしたりはしない。

序盤、タクシー運転手のヨンヒョン(キム・ミョンミン)が入居しているアパートの504号で起きた火事で、30年前とついこの間人が死んだという事実が複線として敷かれているだけだ。

しかしユン・ジョンチャン監督は、映画の序盤登場する人物と周りの描写において、卓越した腕前を見せている。たびたび点滅する白熱灯の明り、物寂しげな廊下など、建物の雰囲気とアパートの住人たちの冴えない表情が相まって、微妙な闇の調和を醸し出している。多少退屈な感じのする所が玉にきずではあるが、血をダイレクトに見せずして創り出す恐ろしさは、予想を上回る。

登場人物は、誰もが内面の傷を持つ異常な人物ばかり。スリラーによく登場する頭の切れる刑事やカリスマをもつ主人公のキャラクターは、徹底して排除された。ヨンヒョンが、女性以上の微妙な感情を抱く主人公の女性ソンヨン(チャン・ジンヨン)。周りの目を気にせず立て続けにタバコを吸う彼女は、夫の習慣的な暴行で顔はもちろん身体中にあざをつくっている。

ピアノ教師のウンスは、亡くなった恋人の幻影に苦しめられ、売れない三流小説家のイ氏は、504号で起きた事件を素材にして小説を書く。

映画は、ヨンヒョンが偶発的に夫を殺したソンヨンを助け遺体を密葬した後、二人が交わることで、ミステリーと心理ドラマが結びついた構造で展開される。

この作品の今一つ惜しい所は、最後の反転。ユン監督は、ヨンヒョンの身体に残る火傷の痕と写真などを通じて、彼が30年前に起きた火災の生存者であるということを、引続き暗示しながら決定的な逆転劇にさしかかる。ところが、最後の反転があまりにも長引いたために、返って効果が半減してしまった。

MBCテレビの「熱いのが好き」に出演したキム・ミョンミンは、映画デビュー作となるこの作品の中で、内面に隠れている野獣の唸りにも似た感性を見事に表現して、印象的なお披露目となった。チャン・ジンヨンも、あざだらけの凄い顔ですばらしい演技を見せている。

「プレイバック」「メメント」「風景」など、記憶に対する3部作シリーズの短編映画で注目を浴びたユン・ジョンチャン監督の、初めての長編デビュー作品。18才以上観覧可。富川映画祭期間中の20日夜12時、ボクサコル文化センターで上映される。映画館封切は8月4日。



金甲植 gskim@donga.com