カナダのエドモントンで会ったマラソンの李鳳柱(イ・ボンジュ、31、三星電子)は平然とした表情だった。今回で個人通算26番目のマラソン・フルコースに挑むベテランの余裕なのだろうか。体調が万全ではないと言っていたが、焦りや緊張の色は見られなかった。
3日、我慢し難い食餌療法と最後の訓練を済ませた季選手を宿泊先のせホライズン・モーテルでインタビューした。
—今回も国民が大きな期待を寄せているが。
「分かっている。だが、プレッシャーを感じないように努力している。フルコースを何度も経験しており、それほど負担は感じていない。暖かく見守っていただきたい」。
—体調はどうか。
「絶頂のコンディションではないが、現地での適応訓練を通じて少しずつよくなってきている」。
—体調がよくないと言っているが、顔には余裕が感じられる。特別な理由でもあるのか。
「よく分からないが、自分も気付かないうちに、大会が近づいてきても緊張したり負担を感じなくなった。どうやら、長い間走ってきた経験によるところが大きいと思う」。
—エドモントンコースの分析は済んだのか。
「比較的平らなコースだが、27kmと37kmの地点に急傾斜があり、楽ではない。先週までは大雨が降っていたが、今週に入って晴れの日が続き、大会の時は23度ぐらいまで上がると見られる暑さも乗り越えなければならない敵だ」。
—勝負どころは。
「最後の上り坂が終わる38km地点だ。その地点まで先頭グループに残っていれば、ラストスパートを掛け勝負に出るつもりだ」。
—今回は蒼々たる選手たちが名を連ねているが、負担にはならないのか。
「世界選手権に出場する選手たちは全員、よい記録を持っている。だが、皆、一度ずつは一緒に走ってみたことがあるので、そんなに恐れてはいない」。
—今回の食餌療法はかつてないほど、厳しいものだったと聞いたが。
「死にたい気持ちだった。三日間、牛肉と水だけを口にしていたので、神経質にならざるを得ないほどだ」。
—今回も国旗の太極マークのはちまきをするのか。
「私のトレードマークだから、それは当然だ」。
—今、誰に一番会いたいのか。
「恋人と母だ」。
—先に恋人と言ったが、母が寂しく思ったらどうするのか。
「....」。
季選手は目を細めて、明るい笑顔を浮かべながら部屋に戻った。
一方、 三星電子のコーチのオ・インファンさんは「鳳柱は右足の負傷のために韓国で十分な訓練ができなかったが、エドモントンの現地訓練はうまくこなし、コンディションが90%以上回復している状態だ」と見ている。
オ・コーチは「標高650mぐらいなら、現地に住んでいる人は感じないが、外国の選手たちには走る時、呼吸が苦しくなる。私たちは高地帯の江原道銫溪(カンウォンド・フェンゲ)で一ヵ月間訓練を行った後、7月6日からエドモントン入りしたため、高地帯には十分に適応している状態だ」と意欲を示した。
梁鍾久 yjongk@donga.com