米国は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キム・ジョンイル)総書記とロシアのプーチン大統領の首脳会談をどのように見ているか。「二つのコリア(The Two Koreas)」の著者として韓国でも広く知られている韓半島問題専門家のドン・オーバードーファー、ジョンホプキンズ大学教授(元ワシントンポスト東京支局長・写真)の見解を5日、聞いた。
—今回の首脳会談をどのように評価するか。
「会談結果には、さほど驚く内容はない。しかし、金総書記のロシア訪問は、中国訪問や欧州連合(EU)訪朝団との会談、昨年のオルブライト米国務長官との会談および南北首脳会談の延長線上にあり、対外関係の改善に向けた努力がうかがえ、肯定的に受け止めている」。
—しかし北朝鮮は、米国の協議再開の要求には応じようとしていないが。
「両国の関係は、ブッシュ米大統領が就任後に対北朝鮮政策の見直しを行なったことで、多少複雑化した。北朝鮮は米国の態度に疑念を抱いている。北朝鮮が米国との協議を先延ばしする背景には、技術的な問題もあるだろう。が、正確な時期は言えなくとも近い将来に協議が再開されると思われる」。
—北朝鮮とロシアは、北朝鮮のミサイル開発は平和的な性格のものだと主張し、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の順守を強調。さらに米国が推進するミサイル防衛(MD)構想に反対することで一致したが。
「予想した通りのことであり、米国はこれを気にはとめないだろう。ロ朝の共同宣言がMD構想の推進に特別な支障をもたらすとは考えていない。ブッシュ政権は、北朝鮮との協議を再開すると決定したので、ロ朝共同宣言が米朝関係に別段の影響を与えるとは思わない」。
—金総書記の在韓米軍撤退の主張に対して、プーチン大統領が「理解を示した」ことをどう見るか。
「2点指摘しよう。第一に、金総書記の主張は、昨年の南北首脳会談での在韓米軍駐留の必要性を認めた発言に反する。在韓米軍問題に対する北朝鮮の立場がまだ明確ではない。第二に、プーチン大統領の発言は外交的レトリックに過ぎず、在韓米軍撤退の主張への支持を意味するものではない。プ−チン大統領が、実際に在韓米軍の撤退に同意するか否かについては、わかりかねるが、明らかなことは『理解する』とした表現には、同意の意思が含まれていないという点だ。従って、拡大して解釈する必要はない」。
—今後ロシアが、韓半島情勢にどの程度の影響力を行使すると見るか。
「大きな影響力が行使できるとは思えない。今回の首脳会談で、ロシアと北朝鮮の鉄道連結について話し合われたが、ロシアは大型事業を進めるだけの経済的能力がなく、内部にも多くの深刻な問題を抱えている」。
韓起興 eligius@donga.com