経営の再建が見込まれない大手企業に対する整理が進んでいないことから、下半期の景気回復に陰りが見え始めている。このような市場の潜在的不安要因が改善されない限り、財政支出の拡大を通じて景気に活気を与えようとする政府の努力も無駄になる可能性が高いという指摘が出ている。
優良企業に投資されるべき市中の資金が、経営の不健全な企業に流れ込んで、「資金の好循環」構造が崩れているからだ。
経済協力開発機構(OECD)と国際通貨基金(IMF)、海外投資家らは韓国経済を評価する際、金融や企業の構造調整に最も重点を置いている。これと関連し、陳稔(チン・ニョム)経済副首相は「第3・4半期までに市場の不安要因を取り除いていく」と発表した。しかし、今まで政府当局者の期限つきの約束は守られなかったことが多く、市場の不信をまねくだけだ。
▲台風の目、ハイニックス半導体〓海外での株式預託証書(DR)12億5000万ドルの発行と、債権団の5兆1000億ウォンの流動性支援で再生気配を見せていたハイニックス半導体は、半導体の価格急落で最大の試練に見舞われている。債権団ではハイニックスの1兆ウォンの自助計画を含め、約2兆ウォンもの支援策をまとめているが、半導体景気が回復しない限り何の効果も期待できないだろう。銀行も融資規模が3兆7200億ウォン(CBを除く)にのぼっているため、撤退はすでに手遅れであり、今後いくらをさらに支援しなければならないのか分からない状況になっている。
サロウマンスミスバーニーは、最近の報告書で「ハイニックス半導体が資産売却や債務再調整、そしてバンダーファイナンシング(設備製造業者からの金融)などで、長期流動性を確保している」とし、「資産売却と債務満期の延長、そして設備投資などが順調に進む場合、第4・4半期別の資金所要状況は今年の3・4半期が4237億ウォン、4・4半期2746億ウォン、来年は1・4半期が2524億ウォン、2・4半期1792億ウォン、3・4半期4965億ウォン、4・4半期7590億ウォンになる」と推計した。Dラムの価格は今年4・4半期にゆるやかな反発基調を見せるとし、ハイニックスの投資意見をアウトパーフォム(買収)と、リスク等級は「投機」と示した。
▲経済論理を離れた大宇自動車〓ゼネラルモーターズ(GM)社は最大の争点となっている富平(プピョン)工場を除いて、大宇(デウ)自動車の優良資産と販売及びアフターサービス(AS)網だけを引受けるという立場を示している。しかし、産業銀行と政府は仁川(インチョン)の経済と勤労者の反発などを考慮し、どういう形であれ富平工場を一緒に売却したいという方針を貫いているため、合意点が見出せずにいる。
産業銀行のチョン・ゴンヨン総裁は、「大宇自動車を経済論理ではなく、違う手法で解決しようとしているので、交渉が遅れている」と政界を非難した。
陳副首相が提示した通り、9月まで交渉を終えるためには、どちらかの一方が思い切った譲歩をしなければならないのに、今のところは産業銀行側が非常に不利な立場におかれている。
▲現代投信詰めの作業〓米AIGによる現代(ヒョンデ)投資信託の買収案は事実上固まり、現代商船が保有している現代証券の持分(16.2%)をいくらで売るかが残っているだけだ。AIG側は1株当たり1万5000〜1万6000ウォンを提示したが、現代商船では最低2万2000ウォン以上を主張しているため、ほかの方法を模索しているところだ。代案としては持株売却ではなく、AIGが現代証券の第3者割当有償増資に参加することが考えられる。AIGの投資金が外部に流出しないメリットがあるが、現代証券の企業価値を損なわず、いかに有償増資の代金を現代投資信託に出資するかが新しい争点となっている。
▲金融機関の売却、足踏み状態〓ソウル銀行と大韓(テハン)生命の海外売却は、もう3年目を迎えているが、まだ解決の糸口を見出せずにいる。ソウル銀行はドイツバンクやキャピタルパートナーズ(DBCP)と売却交渉を進めているが、戦略的な経営ではなくただの投資に止まっており、海外売却の趣旨が色あせている。大韓生命は米メリルリンチを主幹事にした作業が進められているが、予定通りに売れらかどうかは不透明だ。
金斗英 nirvana1@donga.com