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[オピニオン]経済危機克服の経験を生かそう

[オピニオン]経済危機克服の経験を生かそう

Posted August. 21, 2001 10:12,   

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当初の予想とは裏腹に下半期に入っても世界経済は持ち直すどころか、さらに悪化している。米国を始めとする主要先進国の経済成長率は、既に上半期に停滞水準に急落してこれらの国々の景気状況は単なる調整ではなく低迷と断定せざるを得なくなった。

主要国の経済的な困難が発展途上国にしわ寄せし、今年全世界の経済成長率もアジアの通貨危機で深刻な低迷を続けていた98年水準を下回る見通しとなっている。20世紀末にニューエコノミーをリードしていた米国の情報技術(IT)産業のバブルが崩壊し、技術革新と資本投資を根幹にした米国のニューエコノミーも、一部の主張と違って伝統的な景気循環過程を踏襲せざるを得なくなっただ。これによってここ10年間、衰えを見せていた米経済を華やかに復活させた長期好況についで、厳しい停滞局面が訪れることは必至であると考えられる。

振り返ってみると、クリントン民主党政権は、政権後半期に意図的に「強いドル政策」を維持し、世界の流動資金の相当分を米国に呼び込んだ。皮肉なことに一時アジアの伝統産業への過剰設備を通貨危機の主因と責め立てていた米国が、流動資金を基に情報通信産業の過剰投資ブームを引き起こしたのだ。

その結果、情報通信時代の「米」とされた半導体の輸出単価が世界的な過剰供給で去年に続き今年も58%も下落して製造原価を大幅下回っている。これによって韓国の貿易環境も1996年の半導体価格の暴落時より、さらに悪化している。一言で現視点の対外環境は国際的に投機資金が駆け回っていた金融環境を除いて、実体経済の面ではかえって1998年よりさらに深刻な状況といえよう。

上半期に韓国はこうした状況に対して、日本、台湾などの競争相手国に比べて比較的うまく対処してきた。長い間続いている貿易条件の悪化に対応して、ウォンが適切に調整されることにより電子情報輸出企業の採算性悪化がうまく食い止められ、自動車など伝統的な輸出企業の業績は大きく向上した。そして、年初以来の公的資金の追加投入と部分的な内需喚起で消費マインドの改善と共にサービス産業の成長率はかえって次第に好転していった。その結果、上半期の韓国経済は日本、台湾、シンガポールなどの経済が停滞またはマイナス成長に落ち込んだのに比べて、3%前後の成長を続けることができた。

しかし、下半期には強力な景気刺激策が確実に実施されなければ、国内経済の回復は期待できないものと見られる。世界の情報通信産業の低迷はこれから相当期間続くものと見られており、これらの企業の業績悪化が続く中、今年は景気もそれほど回復しないというのが一般的な見方だ。さらに最近IT景気に対する懐疑論が拡がると、長い間米国のIT投資ブームを可能にしたドル高が揺らぐなど、国際金融市場を取り巻く環境も日増しに不透明になっている。こうした状況で、今まで国内景気を支えてきた内需回復にもブレーキがかかっている。このような傾向が続けば下半期の経済成長率は上半期の水準を維持することも容易ではないと懸念される。

今こそ1998年の厳しい経済状況を克服した経験を生かすべき時期である。当時韓国は社会的なコンセンサスを基に、公的資金を適期に投入し、企業と金融機関の構造調整を着実に推し進めると同時に、統合財政収支の赤字維持と積極的な低金利政策で、資本市場の機能を回復させて内需中心に景気回復を図ってきたのである。

ところが、残念な点は国際通貨基金(IMF)管理体制から脱した後、危機意識が欠如し、社会各層の対立で経済的な困難を乗越えるための社会的なコンセンサスを導きだすのが難しく、一糸乱れぬ政策執行もたやすくないという点だ。与野党の政争で構造調整に必要な公的資金を十分確保することが難しく、内需喚起のための財政拡大と適期執行が厳しくなっている。社会各層の対立で画期的な規制緩和を期待するのも困難になった。

今でも経済問題だけは社会的なコンセンサスを得て問題化している企業の構造調整を早期に終え、マクロ政策面で過去のように積極的な景気刺激策を着実に実施していかなければならない。

そうしてはじめて韓国経済は、下半期に最悪の局面に至ると予想される世界IT景気の低迷を克服して回復の転機を迎えることができるだろう。